シルクロード日誌

日本シルクロード文化センターのブログページです。シルクロードに関する情報、コメント、旅日記などを綴ります。
強制収容所からの生還者の生の声を聞きました

 11月29日付のしんぶん「赤旗」に「手足に鎖、8カ月で体重が半減 『新疆ウイグル自治区』中国のイスラム教徒拘束 告発」という記事が、国際欄の1ページの半分近くを占めて、11月23日に開かれた明治大学での講演会の模様を掲載していました。

今年9月にカシュガルへ旅行した日本人旅行者が撮影したという

大量の「監視カメラ」の列です。 

 

 私はかねてから“同じ共産党を名乗っているんだから、誤解されるといけないからウイグルの現状を報道をしてほしい”と、私のブログや小論をメールで送りました。

 台湾の先住民族の反乱事件「霧社事件」についても書き送ったことがあります。

 

 今回のウイグル問題(本当は、中国問題、なのですが・・・)についても注目していましたが、これまで2〜3の小さな記事があった以外は、初めての大見出しの記事でした。これは高く評価したいと思います。

 

 おそらく、記者が実際に目にしたことでなければ、他社の記事やネットの記事を参考にしては書けなかったのでしょう。メディアとしては当然のことなのですが・・・ 

 記事の内容は、私が書いた内容と同じでした。恣意的なものは何もありませんでした。

 

 これらの一連の大弾圧事件、民族を丸ごと消滅させるような目的をもって行われていることは、どうやればやめさせることができるのでしょうか?

 

 中国国内のウイグル民族自体は、“声を出せば拘束され、殺される”かもしれない状態です。もっと具体的に言うと、イスラム教徒であるウイグル人たちが、クルアーンを口に出せば(クルアーンは声を出して読むことを義務付けています)、毎日の決まった時間に礼拝をすれば、そして女性は頭にヘジャブをまけば、拘束です。これではすべてのウイグル人、トルコ系民族やペルシア語を話す民族は、全員が拘束されてしまいます。あたりまえの宗教活動ができません。

 

それであれば、中国国内の主として漢民族が立ち上がらなければなりません。彼らも 同じように中国の党と政府から、中国憲法と党綱領にも明記されている民族の平等、言論、出版、集会の自由などがあるからですが、それはもうとっくに名目上のことで、モノ言えば唇寒しどころか命さえも危うい状態です。

 

 そうであれば、日本やアメリカ、EU各国の先進国や民主主義が確立している国際社会が中国政府に圧力をかける以外ありません。

 しかし、我が国のメディアには「忖度」をモットーとするメディアが少なくない数で存在しています。そうでない大新聞社でも、中国国内での取材に困るからと、これも「遠慮」して書かないところがあります。

 

 日本にいるウイグル人はどうでしょうか。

 2月9日に池袋で行なわれた、世界ウイグル会議主席のラビア・カーディル講演会では驚きました。あれは右翼の集会だったのです。日の丸と君が代が歌われれば、それはだいたい右翼の集会ですが、そこに多くのウイグル人が出席していたのです。

 座っている日本人の多くは、街頭で「ヘイトスピーチ」をするようなメンバーです。

 かれらウイグル人たちは「わたしたちウイグル人を応援してくれる人は、だれでもいい人」と思うでしょうが、中には頭の先からつま先までズッポリ右翼に染まり切っているウイグル人もいるのです。残念なことです。

 

 “溺れる者藁をもつかむ”という言葉がありますが、日本の政治状況や政党分布などに疎(うと)いウイグル人(おしなべて外国人はそうですね)は、飛びつくわけです。

 中国共産党に反対だから「反共」「反中国」と単純なのです。そこに右翼が甘いエサを投げるのですから、カンタンに引っかかります。そうであってはならないのですがね。

しかし、23日の集会にも多くのウイグル人がいました。2月9日の講演会には顔を出さなかったウイグル人がいたのです。そして彼らは私の知り合いが多かったのです。とてもうれしい気持ちでした。

 

 そのウイグル人ですが、在日のウイグル人でさえもが分裂状況です。

 カザフスタン、トルコ、アメリカやスウェーデンなどにいるウイグル人の「国際組織」は、互いに主導権争いをしていてまとまりません。これでは「力」になりません。

 

 いま大切なことは、

すべてのウイグル人がまとまること。

統一した指導部を持ち、世界共通の「方針」を持つことです。

それでなければ、“遠吠え”にすぎなくなります。

 

 そして、それに加えて重要なことが、国際世論です。

 いまは、あなたの応援が必要です。

 このままでは、ウイグル民族は絶滅します。

 

 

「反テロ」のスローガンがはためくカシュガルの街。

トラックには軍警の兵士たちが満載です。

バザールのひと時

| シルクロードの光と影 | 16:52 | comments(0) | - |
強制収容所からの生還者の生の声を聞きました

 ※初めにお知らせです。

 きょう28日(金)午後10時からNHK BS1チャンネルで「ニュース国際報道 衝撃発言 ウイグル族収容の実態」という番組案内があります。11月23日の明大での集いでもNHKの報道カメラが撮影していましたから、(おそらく)この時の証言が報道されるものといえます。NHKとはいえ、ぜひ視聴をおすすめします。違う内容でしたら、ゴメンナサイ。

  引き続き、「中国・ウイグル100万人とその家族の正義を」と題する、アムネスティ国際ニュース18年9月26日の事務局発表ニュース記事をお伝えします。途中で私の見聞したや意見も含めます。

カシュガルのエイティガルモスク。いま、ここはどうなっているのだろう。

 

 新疆ウイグル自治区のウイグル族など少数派に対する弾圧をやめ、推定100万人にのぼる人たちの拘束を解くべきである。 

 

 同自治区ではこの1年間、多くがイスラム教徒のウイグル族やカザフ族の住民多数が、「再教育施設」に収容され、教化、同化などを受けてきた。残された家族は、突然連行された夫あるいは妻や子どもがどこでどういう扱いを受けているのか、知る由もない。どこかに訴えたくとも、報復を恐れてそれもできない。家族の苦悩は増すばかりだ。

 

 国際社会はこの事態を傍観せず、中国政府に対し、説明責任を果たすべきである。

 アムネスティは、新疆ウイグル自治区在住の家族や知人が行方不明になったという100人あまりの国外在留者、さらに再教育施設で過酷な扱いを受けたという元被収容者たちに、聞き取りをした。

 

 大規模な拘束

新疆ウイグル自治区での弾圧が強化されたのは、昨年3月、同自治区に「反過激主義規則」なるものが適用されたことが契機だった。宗教的あるいは文化的な表現が公私の場を問わずに、「過激主義」とみなされ、「普通でない」あごひげを生やす、ベールやヘッドスカーフを着用する、イスラム教やウイグルに関する本や記事を所持する、定期的な祈り、断食、禁酒などが摘発の対象となっている。

 

※私は、アムネスティや「各種報道機関の「ウイグル族」という言い方、書き方が嫌いです。「民族」が違うということは、ほとんどすべてが違うということになります。「・・・族」という言い方、使い方をするということは、「違いの強調」につながります。違いを強調するのではなく、おなじ人間だということを強調してほしいと思っています。ですから私は、ウイグル人あるいはカザフ人という言い方・書き方をしています。

 

 

 海外、特にイスラム系の国での勉学、仕事、あるいは国外の人たちとの接触は、疑いの目を向けられ、老若男女問わずだれもが拘束対象となる。

 

 ※、以前、この欄で友人の妹が、ウルムチからトルコへの普通のツアーに行っただけで拘束されている、と書いたことがありますが、しかし、政府にとっては、それだけでも政府にとっては立派な拘束理由になっていたのですね。

 

 

 顔認証ソフトやメールや通話の検問など、監視の目はいたるところに張り巡らされ、プライバシー保護の技術を使ったメッセージやアプリを使うだけでも拘束理由になる。

 

 中国当局は、被拘束者を留め置く施設を「教育による転向」のための施設と呼ぶ。罪を問われ裁判にかけられるわけではないため、弁護士はつかず、異議申し立てもできない。転向に抵抗すれば、罵声を浴びせられたり、暴行されたり、食事を与えられなかったり、個室に閉じ込められたりするという。いつ「転向」できたかの判断が当局次第のため、被収容者には、先が見えない日々が何ヶ月も続く。

 

 中国当局は、テロ対策や治安確保のための非常手段もやむなしとするが、その手段は特定の脅威を念頭に、極力、対象者を絞った限定的なものでなければなららない。ところが、収容施設は、洗脳、拷問、処罰の場と化している。

                          (続く)

パキスタン国境に近いカラコルムハィウエイのカラクリ(湖)でのキルギス人のおじいさん

2004年に訪問したウルムチの「新疆歌舞団」。以前はソ連の領事館だったため門柱にはレーニンの胸像がある。

ここのスタッフやアクターたちも今は・・・

| シルクロードの光と影 | 04:11 | comments(0) | - |
強制収容所からの生還者の生の声を聞きました

  今回からは、国際アムネスティや水谷尚子さんのリポートによるリポートなどを含めて私の意見を書かせていただきます。

 ホータン郊外の農民「日本は水が多いだろうから、それをこっちに持ってきてくれよ」といわれました

 

 私たちが昨年、久しぶりのシルクロードツアーを企画していたところ、いつも同行してくれるガイドのNさんから国際電話が来ました。「野口さん、ツアーを中止してください」と。「いろいろ難しいことがあるからだろうね。じゃあ、僕が1人で行くというのはどう?」と聞くと「それも無理ですね」という返事でした。彼とはそれが最後の連絡になりました。それほど私や私たちは新疆の情勢が実際上の大問題として存在しているのだということを呑み込めていなかったのです。

 

 その前に新疆へ行ったのはいつのことだろう。もうしばらく行っていません。新疆の情勢が風雲急を告げていることがわかっていたからです。その前から私は、水谷尚子さんのように、いつ北京空港で「入国禁止」に会うかわからないとい危険性もあったので、新疆行きを控えていたからです。

 

 すでに2014年頃からホータンやカシュガルでは、街の中心地にコンクリート製の防護壁がつくられ、完全武装の軍警の兵士が小銃の引き金に指をかけて「警備」をする姿が目に焼き付いていたのを見ていました。そういう兵士を素でのウイグル人が襲うわけがないのにです。目的と狙いは一般のウイグル人に、「テロをするものがこんなにいるんだから、みんなも警戒しろ」ということなのです。

 

私は水谷さんのように世界ウイグル会議の主席を日本縦断講演会に案内するようなことはしていませんでした。具体的な反中国政府や党にたいする活動ではなく、文章で中国批判をしているから大丈夫ではないかと思っていたのですが、もうウイグル人やカザフ人らに対しては、その範囲をとうに超えていることがわかってきました。実際に共産党員でもあった弁護士たちの多くが拘束されていたことを見れば明らかでしょう。

 

 アムネスティ国際ニュース10月16日によると「この1年、中国政府は、新疆ウイグル自治区のウイグル人やカザフ人らに、主にイスラム教徒である民族集団について、大量収容、住民などの立ち入り禁止、強制的な政治教育や文化的同化などを進めてきた。収容されている人たちのほとんどの家族は、本人の消息や安否を知る由もなく、しばしば、事態の悪化を恐れ、口を開くことはない。

 

新疆ウイグル自治区での弾圧が強化されたのは、昨年3月、同自治区で『脱過激化条例』が制定されたことが契機だった。同条例のもとでは、公私の場を問わずイスラムやウイグルの宗教や文化にかかわる行為を、『過激派』だとみなされ得る。そのような行為には、『異常なひげ』の蓄え、全身を覆うヒジャブの着用、定時の祈り、断食や禁酒。宗教や文化にかかわる本や文書の所持などがある。外国、特にイスラム教徒が多い国での就業や留学、あるいは国外の人たちとの通信や接触も、条例違反を疑われる大きな理由となっている」とレポートしています。

 

本気でそのようなことを考えて『脱過激化条例』を制定したのであれば、すべてのウイグル人やムスリムの少数民族がその対象になります。恐ろしいほどのジェノサイド政策です。ポルポトもヒトラーもスターリンも脱帽です。

 

 新疆ウイグル自治区人民政府主席は10月16日、ウイグル人やカザフ人ら100万人にも及ぶイスラム教徒らが送り込まれた収容所について、「無料の職業訓練校だ」とコメントしました。

 この発言は。強制収容所であることを示す数多(あまた)の証拠を否定するもので、被収容者やその家族に対する侮辱である。政府が組織的にウイグル人らを拘束している事実は、隠しようもない。

 

 大勢の人びとが収容されているこれらの収容所群は、明らかに懲罰や拷問のための施設であり、職業訓練所ではありえない。『収容所で暴行や食事はく奪、独居拘束などを受けた』という報告が絶えない。その結果、被収容者は多大な苦痛を強いられている。

 当局は、速やかに収容所の実情を明らかにすべきである。

 同国際ニュースから

 

カシュガル市内で

あるオアシスのホテルの入り口にいた女性。

| シルクロードの光と影 | 09:00 | comments(0) | - |
強制収容所からの生還者の生の声を聞きました

 ※2回前のブログで、せっかく中国の民族政策をスタートさせたのに、生還者のナマの声が聞けたので、方  向を転換しました。ご了解ください。

 このブログでは、以前からもそうでしたが、実名や写真なども配慮して掲載してきましたが、実名の拘束者・死亡者名簿も公開・発表されましたので。その個所は実名としました。その旨ご賢察ください。

イメージ写真=ホータンのポプラ並木

イメージ写真=ウイグルの娘は踊りが好き(2005年頃、野口克也撮影)

 

 

2人目のゲストはヌーリ・ティップ氏。

 彼は兄が飯田橋の理科大学へ留学したので、兄を慕う彼は同じ大学に留学しましたが、その兄タシポラット・ティップさんは、帰国後は学部長を経て新疆大学の学長でした。現在、死刑判決(執行猶予2年)を受けています。

 

 おそらく中国共産党員で、中国の政府と党に忠実な学者だったであろうウイグル人の彼が、すべてのウイグル人の知識の頂点に立っていたであろう彼が、なぜ死刑判決を下されるのでしょうか。何も悪いことはしていないのに、です。執行猶予2年ですからおそらく執行はされないでしょうが、なぜでしょう。

 

 さらに、このように水谷さんからもたらされた105名の知識人拘束者名簿と32名の死亡者名簿は何を意味するのでしょうか。

 

 2人のウイグル人ゲストは言いました。「中国はものを書く人(インテリゲンティア)を怖がる。だから、そこからなくしていこうとしている」と。

 

 知識人は広く世の中へ意見を発出します。中国のこの姿やこれまでの抑圧の歴史を知られては困るから。その内容を知らせないようにする、ということです。

 まるで、カンボジアのポルポトによる数百万人の虐殺と同じです。あるいはナチスドイツにも引けを取りません。

 

 ほとんどの知識人が皆殺しになりました。ジェノサイドです。民族浄化の作業です。

 どなたかが話していましたが、あの文革よりも今のところは、規模は小さいですが、その残虐性は文革を上回っていることでしょう。

 

 水谷さんはオムルベクさんに聞きました。「拘束された人が殺されたところを見ましたか?」「わたしは房に入れられていたので、連れていかれるところは見ましたが、どこへ連れていかれたのかは分からない」とのことでした。

 

 房内の生活は、まず何よりも、中国共産党と習近平主席と中国政府をたたえる「作業」から始まります。感謝の言葉を述べるのです。徹底的にやらされます。これが足りないと食べられません。

 党のいうことをすべて受け入れるか、これが足りないと死ぬまで拷問を受けます。受け入れなければ「死」あるのみです。

 

 朝の8時ころの朝食は中身のないマントウとおかゆのみ。これが朝晩同じもの。

 午前8時ころの朝食から昼まで、さらに夜の12時半すぎまで学習会です。

 革命歌を唄い、党への賛美そして、政治学習です。

 夕方からは自己批判と他人への批判。“私がウイグル人で悪かった。ムスリムで悪かった。私は死ぬまで党のものだ”と言わせられるのです。

 さらに正体不明のクスリを飲まされます。どのような薬かわからないけれど、ひどい下痢になった。友人は薬を飲まないで、私の目の前で拷問されて死んだ。もう1人は腎臓を傷めて血尿になった。

 すさまじい抑圧と拷問、死ぬ直前には腎臓移植されて莫大な利益を生み出させられます。

 

 奇跡の生還を果たした彼オムルベク・アリ氏は最後に言いました。

 いかに強い国であっても、独裁国家として少数民族を弾圧し、統治していけば、必ず正義によって倒されます。私は一匹のアリのように小さい存在ですが、中国の独裁を世界に訴えます。世界には人道・人権・正義を尊重する人がたくさんいます。正義は必ず勝ちます。 

 

 これまで述べてきたように、いま、海外にいるウイグル人のほとんどは故郷へ帰ることができません。その多くの人が家族を拘留されています。

 いま必要なことは、中国・新疆で起こっているこの事実を世界の多くの人びとや団体に届けて国際的な世論を高めることだと思います。「正義は必ず勝つ」ことに確信をもって。

南疆のどこかの農村のおじいさん

カシュガル郊外メキトの農村のトフティさん。ドゥランムカームの演奏者。

日本シルクロード文化センターの設立総会にも来てくださった私の友人です。

外国へ何度も行ったことのある彼は、どこに拘束されているのだろうか。

トルファン郊外の高昌故城の土産物売り場の娘さんたち。10年以上も通っているので、

この子たちが小さい時から知っていました。「アッ!日本人のおじさんが来た!」ということで・・・

 

| シルクロードの光と影 | 10:31 | comments(0) | - |
ウイグル強制収容所からの生還者の生の声を聞きました

 これまで私は、何度かにわたってウイグル人に対する中国当局の暴虐の数々を記してきました。そのどれをも上まわる生還者のお話しに改めて驚きを増しました。

 

 きのうワイフに「今日は何かあるはずだったんだけどなア〜」と言ったのですが、「あなたは私にも“ウイグル問題の集まりがあるから一緒に行こう”と言ってたのに忘れたの?」と冷笑される始末。

 

 ネットでそれらしき集まりを探したのですが、どうしてもわかりません。やがて自分のノートを開いてみると、大切な集まりだからということで、ちゃんとノートの日程表に書いてあったのです。さいわい午後6時から、会場は、お茶の水の明大リバティーセンターでしたので、余裕を持っていくことができました。それが、明治大学現代中国研究所とアムネスティ・インターナショナル日本が主催する「ウイグル強制収容所から奇跡の生還〜オムベルク・アリさんが語る〜」という集会でした。

 

 おはなしはオムルベク・アリ氏。42歳です。

 生まれは新疆ですが両親はカザフ人とウイグル人で国籍はカザフスタン。

 カザフスタンのアルマトゥ市の旅行社勤務でしたが、両親のいるトルファンを訪ねた際に突然、警察に身柄を拘束され「カラマイ市技術研修センター」の看板がかかる収容所に送られました。

 さいわい彼の妻の奔走でカザフ外務省に働きかけ、北京の大使館経由で救出を依頼、メディアにも訴えて8ケ月で釈放されました。

 

収容所内の環境は豚小屋以下の劣悪なところで(いまは豚小屋も環境が整っているようですが、これは比喩です)、12平方メートルの房に35人〜50人が詰め込まれ、24時間手足を鎖でつながれたままで、食事・トイレもこの狭い房です。115kgあった体重が8ケ月後には60kgに減っていたといいます。

 

 狭い房なので“睡眠も交替制”。そのうち、ときおり4〜5人が房から連れ出され、その人びとは二度と帰ってきません。代わりに同じ人数が入ってきます。連れ出された人びとはおそらく殺されただろうという以外に想像できません。

 

 この日の“スピーカー”は旧友の水谷尚子さん。明大の専任講師です。昔からの友人です。4〜5年ぶりでした。以前は新宿付近のウイグル料理屋や池袋などで話し合ったものです。

 

 この日の集いの休憩時間、そのウイグル料理屋の店長と会場でバッタリ。いつもケンカっぱやい彼ですが、まだ店はつぶれないでいるようです。この日は、会場で数年ぶりのウイグル人たちと会いました。互いに握手を交わしましたが、彼らのほとんどは家族が行方不明になっています。

 

 会ったことのない50代くらいの男性は、眼に涙を浮かべて「娘が1年も行方不明で・・・」といったまま、あとは言葉が続きません。「兄弟が3人、行方不明・・・」「両親と妹がつかまったままです」と、ほとんどの友人たちの家族が行方不明になっています。

 

 なぜなのでしょう。それは「彼らが外国にいる」というだけの理由のようです。いま、新疆では外国に行ったことのあるウイグル人は、すべてパスポートが没収されています。当局は公費留学生であっても私費留学生であっても帰国をせよとの命令を出しています。間違って帰国すると即座に強制収容所入りです。

 

 水谷尚子さんが作成した、限定的な強制収容されている名簿が配布されました。

 私が知っている何人もいました。

 

 アリムジャン・メメットイミン氏は、私の盟友の末の妹の義父です。彼は新疆ウイグル自治区政府の秘書長でした。日本の政府で言えば官房長官です。

 

 以前、彼の家に行ったことがあります。国が違うので実情も違うため話がかみ合わなかったのですが、親しく話をしたことがあります。

 通訳をしてくれた方も通訳を断るほどの刺激的な論争もしましたが、好人物でした。彼メメットイミンも拘留されていることが判明しました。

 

 さらにイリのヌルタイ・アジも強制収容所の名簿にありました。

 かつて私がまだ日本シルクロード文化センターをつくる前に企画していた“新疆に日本語学校をつくろう”と計画した際、友人の紹介で、資産家の彼が私費で孤児が入ることのできる学校を経営しているヌルタイ・アジ氏の名前もありました。北新疆イリの人です。

北新疆イリにある「ヌルタイ・アジ学校」の正門。2004年11月のこの日、本人は留守でしたが学校まで訪ねました

堂々とした学校です。もうこのころヌルタイ・アジは「野口は危ない人物」ということで私に会わなかったのです。

 

 彼を含めた「イリの宝」といわれたほかの3人も強制収容所に拘留されています。その名前もありました。

 水谷尚子さんが作成した名簿には105名の拘束された人の名前と32名の死亡者リストがありました。これは彼女が研究者であったために、その分野の人の名簿作成になったようで、これはほんの氷山の一角だと思います。100万人が強制収容所に入れられているという話ですが、この日のもう1人のゲストは、「百万人どころかその数倍になるだろう」と話していました。

この写真は2004年12月のカシュガル。日本留学を終えた女性が(立っている女性)

私費で学校の教室を借りて「日本語教室」を開いていました。

私があいさつすると「ナマの日本語だ!」と大感謝され、何人もの女性から

「私の家へ食事にご招待します」といわれました。

 

 

| シルクロードの光と影 | 15:45 | comments(0) | - |
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