シルクロード日誌

日本シルクロード文化センターのブログページです。シルクロードに関する情報、コメント、旅日記などを綴ります。
第104回シルクロード講座 7月13日(土) 「遊牧国家とは何か?――匈奴を例として――」 講師:林俊彦(創価大学名誉教授・東洋文庫研究員)

第104回シルクロード講座 7月13日(土)

「遊牧国家とは何か?――匈奴を例として――」

講師:林俊彦(創価大学名誉教授・東洋文庫研究員)

 

今回の講座は、5月に林先生をお迎えしてのシルクロード講座が大好評だったため、その場で7月の講座をお願いして即諾していただいたものです。

 

今回のテーマは表題の匈奴を例として学びました。

この日の講座の特徴は、従来語り継がれてきた「匈奴」の国家としての成り立ちを司馬遷の『史記』の「史記匈奴列伝」などをパワーポイントで映しながらの講義でした。

さらに『漢書』も『史記』を受け継いで書かれていったということにも触れていました。

 

忘れたとはいえ、多少、中国を学んだ身としてもかなり難解な漢文の史記でしたので、なじみのない方にとってはかなり大変だったろうと思います。しかし、これがシルクロードを考古学の視点から学ぶということの難しさだといえます。

 

匈奴の存在が知られたころ、その周囲には東胡と月氏という強大な遊牧勢力がいました。その左右に位置していた2つの遊牧勢力を巧みな作戦と戦術で打撃を与え、やがて当時の漢に対抗するまでになり、やがてこれを凌駕するまでに至った歴史を史記にもとづいて進めました。

左端が講師の林先生。腕組みをしている背中の黒シャツの男性は、仕事の残業続きで、やっとシルクロード講座に出席できた31歳の青年会員

 

 

この日は11日後に迫ったモンゴルへの旅の参加者のうち、初めて講座に参加して「シルクロードなるものに触れるのは初めて」という方がいました。また、練馬区から参加した入会したいという方、あるいは講座に参加してもおしゃべりや居眠りに忙しい方などもいましたが、改めて聞く講座の話に聞き入っていた人がほとんどでした。

会場は補助の椅子を出すほどの大盛況でした。

 

この日の受講者は今年2番目に多い22名でした。

左が練馬区から参加された入会者。真ん中がモンゴルツアーに参加する「シルクロード初見参」の女性。

 

 

次回は(8月は暑いのでお休みです)9月14日です。

ウイグル人のアフメットさんや彼の奥さんあるいは友人たちが、いま行われている新疆での強制収容のことなどについてお話しします。

関心の高いテーマですので従来の会場では入りきれない可能性がありますので、9月に限っては狛江駅前の泉龍寺境内にある「仏教文庫」で開催します。多くの皆さんのご参加をお待ちしています。

| シルクロード講座の報告 | 11:36 | comments(0) | - |
ウズベクの暮らしとドゥタールと歌声と

 

講座のようす6月8日の第103回シルクロード講座は、ウズベキスタンの伝統楽器ドゥタール奏者の駒崎万集さんのお話と演奏でした。

 

青年海外協力隊としてウズベキスタンのブハラで2年暮らした駒崎さんが見たもの、食べ物、スザニやアドラス織り、青い陶器などの伝統工芸品、人々の暮らし、おまつり、衣裳、お薦めの街や、お店などたくさんの写真を駆使して話して下さいました。

生地は絹
伝統工芸品スザニのクッションカバー、生地は絹。刺繍が素晴らしい。
スカーフ
アトラス織りのスカーフ
アドラスを使った素敵なデザインの上着
アトラスを使った素敵なデザインの上着

 

音楽教師としての苦労や、子どもたちの様子も興味深く見せてもらいました。

楽器がないので鍵盤用紙で練習
楽器がないので鍵盤用紙で練習
音楽を教えた子どもたち
音楽を教えた子どもたち。制服は女の子は青い服に白いエプロン。頭には白い花の髪飾り。
それさえ守れば服のデザインも色あいも、エプロンの形も様々。男の子は白いワイシャツ。
お祭りにはみんなおしゃれ
お祭りにはみんなおしゃれに着飾って。オリジナリティがすごい。
子どもたちは音の高低が分からないので、作った教材

音楽
・歌は強い。歌の力。
・音楽で大切なことは世界中で変わらない。
・文化を理解する、理解している事を示せる。
・現地では古いものでも、私にとっては新しい!→相手にとっても同じ。

 

ウズベキスタンのよい所
・細かいことを気にしない
・レディファースト
・優先席がない(そんなものなくても必要な人にさっと譲ってくれる)
・みんなマイペース
・民族衣裳が素敵
・食べ物は美味しい(油はすごいけど)
・安全
・日本が好き
・文化、歴史が濃い、深い
・家族第一

 

観光客ではなく、実際に暮らし、人々に接してきてのウズベク人観は、とてもおもしろく、なんとなく遠い国だったウズベキスタンが身近に感じられ、観光旅行でない時間を過ごしてみたいと思いました。

 

 

ドゥタールを弾きながらの歌声に魅了されました。 駒崎さんはウズベキスタン滞在中に、伝統楽器ドゥタールに魅せられ、習得。日本に帰ってきてからも腕を磨き、本格的に演奏活動を開始。ウズベキスタン、タジキスタンの美しい伝統音楽をドゥタールのソロ、弾き語りで演奏するスタ イルを確立して、ウズベキスタン、タジキスタンの大使館イベント、ライブ、各種コンサート、ラジオ等で精力的に演奏をしています。この講座でも演奏を披露してくれました。

ドゥタールは、棹はアンズ、胴は桑、絹糸を張ったつ2弦の楽器です。

小さな会場だったので、生演奏と美しい歌声に魅了されました。

 

素敵な時間をありがとうございました。(報告:周東)

 

 7月6日には、北区の志茂ふれあい館で、第263回まちかどコンサート「シルクロードの響き〜ウズベキスタン・タジキスタンの音楽〜」に出演されるそうです。入場無料。興味のある方は是非!

 

 

 

 

 

| シルクロード講座の報告 | 16:22 | comments(0) | - |
第101回シルクロード講座「モンゴル遊牧民の暮らしと文化」報告

FB_IMG_1552351898601.jpg4月13日(土)の第101回シルクロード講座は、以前この講座でカザフ刺繍の話をしてもらった廣田千恵子さんの紹介で、西村幹也さん(北海道在住、NPO法人北方アジア交流センターしゃがぁ代表)にお願いました。

「遊牧の民の調べコンサート」を聞きにいかれた方は、MCをやられるので、ご存知かもしれません。

北海道羊蹄山麓に北方アジア遊牧民博物館を2016年10月8日にオープンして、「草原での生活」「タイガでの生活」「アルタイ山脈での生活」「宗教と音楽・美術」の4つのコーナーで、貴重な民具類を展示しています。
文化人類学や宗教人類学を専門とし、モンゴル地域のフィールドワークを20年以上に亘り行い、シャーマニズムやツァータンの生活の研究を中心に、カザフの文化研究やタヒ管理センター支援、ゴビ地域へ馬頭琴を届ける活動などを行っています。

日本国内でコンサートや写真展なども精力的に開催。『もっと知りたい国モンゴル』(心交社2009)の他、共著多数。風の旅行社のモンゴルツアーのガイドもされています。

 

P4130143.JPG お話は「北アジアの遊牧世界」の概要から始まりました。北アジアの地形を示してモンゴルの位置するところを、また、その自然環境の特徴から遊牧生活・移動生活が合理的であること、直接的自然環境資源はほとんどないので、家畜(ウマ、ウシ(ヤク)、ヒツジ、ヤギ、ラクダ)は食料も、衣料も、燃料(糞)も供給してくれる貴重な財産であることなどを知りました。

遊牧生活によって育まれる基本的なモノの考え方は、1人ですべてのことが出来なくては生きていけないということでした。分業はなし、その時やれる人がやれることをやる。見習いたいですね。

 

遊牧民にとっての自然理解の常識、・土地は誰のモノでもない、・自然界に境界線はない、・人はP4130146.JPG地上に生きるモノ(地面の下は別世界)、・家畜は人のものではない(天のもの)。私がモンゴルに行った時、草原に移住して来た農民が畑の周りに柵を作り、入り込んで来た家畜を撃ち殺してしまうという話や、ゲルキャンプで、ごちそうにヤギを1頭屠ってくれ、天寿を全うしたヤギの毛皮、肉、内蔵のすべてを使い切っていたのを思い出しました。
遊牧民による土地区分の話も、スライドの映像と随所に遊牧民の暮らしが折り込まれて、とても分かりやすいものでした。

 

シルクロード文化センターのツアー、今年はモンゴルということもあって、参加予定者も聞きにいらして、旅の具体的な質問もとびかっていました。

 

現地に通い続けて遊牧民とともに暮らした西村さんならではの興味深い話に、あっという間の3時間でした。(周東)

 

 

 

| シルクロード講座の報告 | 05:17 | comments(0) | - |
シルクロード三昧の日

 いやいや、1月12日の土曜日は朝からシルクロード三昧の日でした。

 

 順を追って説明しますと、午前は泉龍寺の境内にある「仏教文庫」というところで年一度の総会を開きました。

 私の知っている範囲で、日本のというより東京周辺で、私たちのような民間のシルクロード関連団体の存在と活動が、年々少なく薄れていっているのが実情だと思います。

 

 その原因は、主としてその団体やクラブを構成する人たちの高齢化です。そしてその団体を統括するリーダーや専門家の高齢化と志向のマンネリ化があります。さらにいえば、その団体・クラブと付き合っている“シルクロードファン”の高齢化現象もあります。 

 

 私たち「日本シルクロード文化センター」も決して例外ではありません。

 毎年恒例の11月の「シルクロードのつどい」も、昨年は過去最少の30人程度の参加にとどまりました。創立時は100人以上が詰めかけました。

仏教文庫で行なわれた日本シルクロード文化センターの総会出席者

 

 当日、総会に出席した11人の会員のうち、普段、パソコンを使っている人は4人。我がクラブのホームページを更新できる人は事務局長一人。しかも彼女は“今は多忙だから絶対無理”といって更新できない状態です。 

 このような状況を打開するには、みんなが一つずつテクニックを覚えてネット通信に長けなければなりません。“私はできない”では済まされないのです。

 それらのIT機器を駆使してシルクロードのネットワ―クを拡大していかなければならないのです。

 

 その日の午後はいつもの会場に移って第99回目のシルクロード講座です。

 この日は10年間もイランで音楽を学んでいた北川修一さんがタンブールやタールを演奏し、その友人のシューヘイさんがトンバクを演奏しました。

 この日は、彼らのファンなのでしょうか友人でしょうか、6〜7人の方がたが参加されました。

 イラン大使館のイラン語講座で一緒だったというリンボーダンスを踊る女性、どういうことか北京大学を出て18年も新疆にいたというドクターコースを出た女性、やはりかなりの期間、北京の大学で学んだという2人の女性も参加されていました。そして、今年イランに留学するという若い男性も参加されていました。

 

北川修一さん

トンバクを演奏するシューヘイさん

 

初めてお目見えする方がたもいました。

 

 そしてしたたかに日本酒を飲んで帰宅してからは、7時半からNHKプレミアムで「ヤグノブ渓谷の秘境に住む少数民族」というような番組がありました。

 半年ほど前、この番組を制作するNHK関連会社の社員から「ソグド人に関することを教えてほしい」という電話があり、何度かメールで私が執筆したソグド関連の論文や写真を送ったことがありました。 

 タジキスタンの首都ドゥシャンベから80kmほど離れたところに「ヤグノブ渓谷」があります。そこの住民がはるか昔のソグド人の末裔だということを私は10数年前から知っていました。しかし、それ以上のことはわかりません。

 帰宅後の酔眼朦朧とした中でテレビの録画を見たので、もう一度見なくてはならないと思っています。

NHKプレミアムの「シルクロード謎の民 大峡谷に生きる」 

 

テレビ画面をカメラに収めたものです。

 

 

 余談ながら、きのう13日は早朝、寒い中、川崎市の多摩川の河川敷で実施された「新春マラソン」へ挨拶に行きました。

 全国各地で実施されている私の所属するスポーツ団体の新春マラソンも、シルクロード分野における状況とあまり変わらず、全体的に参加者が減っています。

 

 11時前には帰宅して、こんどは両国の国技館です。12時ころから午後6時までずっと観戦です。わたしの関心事はもとより全国的な関心事は稀勢の里がどうなるかでした。

 プロカメラマンの若い女性が一人で仕切っているこの相撲観戦サークルは、小中学生から50〜60代の人まで幅広くいます。中心は30〜40代の主として女性が多いです。きのうは20人くらいが東の二階の一番うしろの座席で固まって観戦しました。

 

 私がまわりの仲間たちと予想をしました。「今日の稀勢の里は負ける。今場所はよくて9勝、最悪の場合は今日から3連敗して引退するかもしれない。大関陣は今日は3人のうち2人は負ける」と言いました。結果は3大関が負けて、稀勢の里も力なく負けました。暗雲が垂れ込めたというより、ほとんど絶望状態です。

私の後ろの座席には、稀勢の里応援団が席を占めて声援を送っていましたが・・・・

 

 しかし、場内の稀勢の里ファンは圧倒的です。懸賞金も白鵬の2倍以上の55本もありました。

 “日本人の横綱”に対する期待が大きかったと言いますが、白鵬以外の横綱も国籍は日本です。しかもこのグローバルの時代、日本人だからという選択肢はもう古いのではないでしょうか。

 

 しかも、アメリカ人やヨーロッパだとチヤホヤするけれど、アジア人だと“日本人より下”という考え方がどうしても抜け出せないようです。

 これを私は「欧米崇拝思考」と呼び、その克服を呼びかけています。相撲とは関係ないですが・・・・

| シルクロード講座の報告 | 11:11 | comments(0) | - |
第97回シルクロード講座、真面目に聞きました

 10月の講座は、初めてのことですが朝鮮大学校の河創国(ハ・チャングク)先生の講義でした。

 ハ先生のお話を聞きたいと思ったきっかけは、今年6月に行われた歴史的な「米朝会談」とその前の「南北首脳会談」がありました。

お話をするハ・チャングク先生(左)

 

 いまテレビで日本各地の「秘境」を訪れるなどという番組がはやっていますが、シルクロードにおける秘境は拡大の一方です。

 私も行ったことのあるシリアは内戦状態で行かれません。また、アフガニスタン、イラクなども危険な地域となっており、平和が回復しなければ行かれる状況ではなくなっています。

 

 その北朝鮮=朝鮮人民民主主義共和国も、アジア太平洋戦争で日本が敗北して以降、ソ連(当時)とアメリカの拮抗と対立、その後の朝鮮戦争以来、北部に関しては一般の古代歴史研究での入境は難しい状況となっています。

 しかし、米朝会談が再開され、休戦状態が南北の友好と平和に転換していけば、この状態がかなり開かれてくると思われます。

 

 わたしたちの仲間から「渤海」の研究で北朝鮮に行きたいという人が出てきています。私もぜひ同行したいと思いました。

 三国時代から高句麗を経てきた朝鮮半島の歴史や遺跡などが世界に公開されていけば、世界各地から大歓迎を受けることでしょう。まさに“シルクロード(研究)は、平和とともに”だといえます。

 お話は次第に熱を帯びて高句麗に入っていきました

 

 

 そんな世界の動きの中からこんどのシルクロード講座が実現したのです。直接のきっかけは、6月に小平の朝鮮大学校で開かれた「南北首脳会談」と「米朝会談」をどう見るかという朝鮮南北の識者のシンポジウムにわたしが参加した際にハ先生を紹介されてシルクロード講座への出席を依頼したことで実現できたものです。

 

 本題に入りましょう。

 このブログの冒頭にうっかり「講義」と書いていまいましたが、出席者はまさに若き時代に経験した大学の講義を受ける気分になっていました。

レジュメと首っ引きでお話しを聞きます

 

 

 お話はまず、原始時代からはじまる朝鮮の歴史からはじまりました。

 新旧石器時代から古代の古朝鮮・扶餘・辰国、檀君神話そして三国時代(高句麗、百済、新羅、伽耶諸国)のお話し。ハ先生の専門は高句麗だそうですが、しずかな語り口でお話しされる語り口に出席者も真剣に耳を傾け、レジュメに目を通していました。

 

 おはなしの最後は、高句麗から高麗にかかわる日本のことでした。

 高麗が朝鮮語で「コリョ」と言うようですが、そこから来た言葉の「狛江」という由来は知っていましたが、埼玉県の「新座」は「新羅」から来た言葉だということも初めて知りました。

 

 出席されたみなさんも真剣にお話を聞くうちに時間の4時少し前になってしまいました。懇親会の場を駅前に移しましたが、カンパイのあと目の前のものを食べることになりますが、ハ先生は一向に箸をつけません。だれかが「今日の講師ですから、まず先生からどうぞ・・・」といっても食べません。よくよく伺うと「私より年上の方がいらっしゃいますので、わたしはそのあとで・・・」ということです。合っているかどうかわかりませんが、これが朝鮮民族に脈々と流れ続いてきた「儒教思想」というものだと感心してみていました。

 

 久しぶりに真剣に聞いた(いや、いつもなのですが・・・)お話しで清々しい気持ちになっておいしいものを飲み、且つ食いました。

| シルクロード講座の報告 | 03:30 | comments(0) | - |
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