シルクロード日誌

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ふたたび鉄の王国ヒッタイトを語る

ふたたび、鉄の王国ヒッタイトを語る 
                              野口信彦
きのう朝日新聞に掲載された最古の鉄器の発見についてのニュースは、今日になって読売や各紙が掲載しています。
 最近入手した資料から、ふたたび(しつこくかもしれないですが)ヒッタイトについて・・・

 紀元前2000年ころ、古代オリエントのアナトリア地方に、トルコ語で「赤い河」を意味するクズルウルマック河(アナトリア高原=現在のトルコ=中央部にある)のほとりに建国されたヒッタイトは、軍事国家であると同時に技術立国でもありました。 
 製鉄技術を確立したことで強力な鉄の武器を手にした彼らは、巧みな乗馬技術によって戦車を操縦し、周辺国家を脅かしていきました。そしてその歴史は、彼ら自身の手で粘土板に刻み込まれていました。

 ヒッタイト建国の祖ラバルナ1世が、アナトリア地方の中央部を流れるクズルウルマック周辺の小さな都市国家を統一し、ヒッタイト古王国を建国したのは、紀元前1680年ころのことといわれています。その後、地中海からシリア地方にかけての広い範囲を版図に組み込んだヒッタイトは、メソポタミアの大国バビロン第1王朝をも攻め滅ぼしています。しかし紀元前1500年頃からヒッタイトは約70年間にも及ぶ国内の混乱状態に陥り、王位簒奪(さんだつ)や暗殺などの事件が続き、周辺国による侵攻を許すありさまとなりました。


 勢力が縮小の一途をたどるヒッタイト古王国に代わって、紀元前1430年ころドゥドハリヤ1世によってヒッタイト新王国が建てられたものの、かつての栄華はなかったのです。ところがそこに英雄的な1人の王が現われました。のちに自らを「大王」と名乗ったシュビルリウマ1世でした。彼はヒッタイトの南方に位置する強国ミタンニを打ち破って属国とすると、周辺諸国と同盟して連携を強めました。


 そのヒッタイトの躍進を後押ししたのが、製鉄技術でした。鉄は紀元前5000年ころには発見されていたと考えられていますが、その技術を十二分に発揮させるためには高度な加工技術が求められました。紀元前13世紀にはすでに高度な鉄の加工技術を手に入れていたというヒッタイトの王たちは、その技術を駆使し、周辺諸国との取引材料としていたといわれています。


 高い技術を有する軍事国家として、ヒッタイトはその後もさらに南下を続けました。そしてその支配地域は、ついに当時オリエント最強といわれていたエジプトにも迫ろうとしていました。もちろんエジプトもヒッタイトの台頭を快く思っているはずはなく、紀元前1285年ころ、シリアのカデシュにおいて両者は激突します。この戦いの後、ヒッタイトとエジプトの間では世界初といわれる国際条約が結ばれていますが、実はその勝敗ははっきりとしていませんでした。ヒッタイトの古文書「ボガズキョイ文書」によれば、戦術に長けたときのヒッタイト王ムワタリは、調教した馬を用いた軽戦車や製鉄武器を使ってエジプトを圧倒したといいます。しかし一方のエジプトでは、当時のファラオ、ラムセス2世が自らの葬祭殿にエジプト軍勝利のレリーフを刻ませているので、実際のところはっきりしていません。どちらも自分たちが勝ったといいたがるからです。


 以後、大きな戦乱は起きなかったようですが、ヒッタイトは紀元前1200年ころ、歴史の表舞台から姿を消してしまいます。きのうも書きましたが、その衰退の原因はよく分かっていませんが、エジプトの壁画などから、当時「海の民」と呼ばれる出自不明の民族が一帯を荒らしまわっていたと考えられており、これに巻き込まれるような形で没落していったのではないかといわれています。


 そしてヒッタイトの滅亡によって、国家秘密だった製鉄技術は周辺地域へと流出し、時代は青銅器から鉄器の時代へと移っていくことになったのです。

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