シルクロード日誌

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朝日デジタル版より転載
(@上海)進む情報統制 成立から60年の新疆ウイグル自治区

 きょうは、朝日新聞デジタル版から12月4日付けの上海支局長。金順姫氏のリポートを転載します―野口。

中国・新疆ウイグル自治区のウルムチで10月1日、自治区成立60年を記念する式典があり、民族衣装に身を包んだ人々が集まった=AP

この部分には写真が掲載されていましたが、私の技量では掲載できませんでした。

特派員リポート 金順姫(上海支局長)

 中国の新疆ウイグル自治区は今年10月1日、成立から60年を迎えた。中国西部に位置し、中央アジア諸国と国境を接する地域で、イスラム教を信仰するトルコ系のウイグル族が多く住んでいる。清朝に征服されたあと1930〜40年代には独立が宣言されたが、49年の新中国成立を経て、55年に自治区が設けられた。その後、漢族の大量移住が進んでいる。 私は上海に赴任後、一昨年、昨年と、たびたび新疆ウイグル自治区に赴いた。多数の死傷者を伴う暴力事件が続き、そのつど急いで現場に向かった。事件の端緒を自治区政府系ニュースサイト「天山網」などでつかむことも少なくなかった。

 自治区の成立から60年を迎えた今年、一つの変化を感じている。暴力事件について得られる情報が大幅に減った。中国当局は事件が起きたこと自体を外部に知ら せたくないのだと感じる局面が増えた。もともと多くない報道の量をしぼるだけでなく、ネット上に情報を流出させないよう、情報統制を従来よりさらに厳しく している様子もうかがえる。

 新疆をはじめ中国各地では近年、少数民族のウイグル族が関わったとされる暴力事件が相次いできた。背景には、中国当局の抑圧的な少数民族政策や、漢族とウイグル族の対立感情があると指摘される。自治区の政治や経済の主導権は漢族が握り、イスラム教の信仰で自由な宗教活動が認められないとの不満もウイグル族側に鬱積(うっせき)している。

 当局には、容疑者がウイグル族であることに焦点が当たるのは避けたい思惑があるとみられる。深刻化する少数民族問題に国際社会の注目が集まるのは、当局にとって望ましくないからだ。事件発生や容疑者検挙を宣伝するほど、そうした事態に陥ってしまうとのジレンマを抱えているのだろう。

 当局は情報統制のかたわら、自治区の共産党員、党幹部への引き締めを強めているようだ。
 自治区の共産党規律検査委員会は11月1日、自治区党委員会の機関紙・新疆日報の元編集長の党籍を剝奪(はくだつ)すると発表した。新疆政策について、党中央の方針に反対する言論を公表したことなどが問題視された。
 また、11月24日付の中国紙によると、自治区の共産党規律検査委員会トップは、一部の幹部が「民族分裂反対、民族団結の維持、祖国統一の重大な問題で態度が揺れ動いているばかりか、暴力テロ活動を支持、参加している者までいる」と非難したという。
 情報を表に出さず、内部を引き締める。中国当局が腐心するのはそれだけではない。あえて情報を出すことで、対外的に自国の立場をアピールすることもある。

 自治区党委員会の機関紙・新疆日報は11月20日、9月18日に新疆ウイグル自治区ア クス地区バイ県で炭鉱襲撃事件が起きたと伝えた。約50人が死亡したなどとして先行する海外の報道に当局は沈黙を続けていたが、「11月12日までに容疑者28人を射殺した」と政府系メディアが報じ、襲撃事件が起きていたことを認めたのだ。犠牲者は警察関係者を含む16人で、容疑者らは国外の過激派組織か ら指示を受けていたとした。

 海外メディアが報じていても当局が発表しない事件はほかにもあるのに、なぜこの炭鉱襲撃事件を明らかにしたのか。パリの同時多発テロ事件を受けて国際的に「反テロ」の機運が高まるなか、新疆で続く事件とそれを抑え込もうとする中国当局の動きをその流れの中に位置づける狙いがあるのではないか。こうした見方が出ている。

 中国当局はこれまで起きた一連の事件を「テロ」と位置づけ、「東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)」などのウイグル独立派が関与していると強調してきた。自治区の区都ウルムチで10月1日に開かれた成立60年の記念式典では、共産党最高指導部で新疆問題を担当する兪正声(ユイチョンション)・全国政治協商会議主席が「テロ活動に容赦なく打撃を与えることを、当面の闘争の重点としなければならない」と演説した。

 中国の王毅外相は11月15日、トルコで主要20カ国・地域(G20)外相による昼食会に出席し、パリの同時多発テロを強く非難した。そして、中国もテロの被害者であり、ETIMなどの取り締まりも国際社会の反テロの戦いの一部であると述べている。
 ウイグル族をめぐっては近年、中国南部の雲南省広西チワン族自治区などから不法に国境を越え、東南アジアへと逃れる動きが表面化している。中国の治安当局は、不法出国したウイグル族が東南アジアやトルコを経由して「イスラム国」(IS)などの過激派組織に合流し、訓練を受けたあと中国に戻ってテロを起こすことを警戒している。

 一方で、事件の容疑者らが国外の過激派組織と関係を深めているという当局の見解はウイグル族への締め付けを正当化するための口実であり、ウイグル族の不法出国は「抑圧から逃れるため」だとする見方は根強い。ウイグル独立派の活動実態やこれまでの事件との関連には不明な点が多い。

 習近平(シーチンピン)指導部は自治区成立60年にあたって、「各民族の生活水準は大幅に向上し、衣食住の環境も大きく改善した」として、経済発展などを輝かしい成果と誇ってみせた。だが、新疆はいま、暴力事件が頻発する重苦しさと混迷の中で、輝かしさとは遠い状況にある。
     ◇
 金順姫(きむ・すに) 上海支局長。1999年入社。広島支局、京都支局、西部報道センター(福岡)、中国留学などを経て2012年10月から現職。39歳。ツイッターアカウントは@kim_soonhi


※私(野口)は、これまで日々のウイグル民族の動向に関連する日誌を書き続けていましたが、書ききれないほどのニュースがあふれていた時期がありました。それは「ウイグル民族の暴行がいかにひどいものか」というものばかり。
それが、このところトンと音沙汰がなくなっていました。やはり、私の思惑通りのコトの推移があったのですね。
 しかし、この金支局長のリポートは、上海在任中ということもあって、かなり抑制された書き方をしています。実際は、もっと率直に書きたかったのでしょうが、上層部の政治的判断などで抑制されたものと思えます。私自身への情報提供も極端に減っています。なおかつ、両極端に傾いてきています。
“両極端に”です。
 
| ウイグル情報 | 05:19 | comments(0) | - |
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