シルクロード日誌

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内モンゴルでもっとも影響力を持った男  ウランフ―2 ―現代内モンゴルの創立者―
 ウランフは内モンゴルでもっとも影響力を持った人物ですし、内モンゴル自治区をつくった人物でもあります。
 そしてウランフに対する評価もさまざまで、中国政府の公式評価は「試練に耐えぬいてきた共産主義の戦士で、党と国家の優秀な指導者、傑出したプロレタリアの革命家で卓越した民族工作の指導者」とあります。
それだったら、彼を批判していた時の評価の処理はどうしたというのでしょうか。

ウランフ(烏蘭夫)
1906年12月23日生1988年12月8日没
 
その反面、モンゴル人の中には彼の負の面を酷評する人も少なくありません。
ウランフがデ・ワン(徳王)と対立して内モンゴルを中国に売り渡したという人がいます。
 このウランフの項目の執筆者はウラディン・E・ボラク氏なのですが、彼はこういっています。

 「まるで徳王が内モンゴルの指導者になっていれば内モンゴルは救われていたかのようだ。ウランフに対するこうした負の評価や徳王への惜しみない称賛は、結局、自らの運命を誰かに委ね、自分たちの不幸を誰かのせいにして、いっこうに反省しない内モンゴルの人びとの退嬰(たいえい)した姿としか言いようがない。
 逆に、内モンゴル現代史は“人民”がつくったのではなく、良かれ悪しかれウランフがつくったものだと言っているようなものである。なぜなら、現代的な意味で歴史を創造しうる内モンゴルのモンゴル族“人民”が形づくられず、今後も形成される見通しがないかもしれないという嘆きのようにも聞こえるからである。したがって、ウランフに対する評価はある意味で内モンゴルのモンゴル人が自らを正しく認識する良い機会といえよう」といっている。
 
 これを私なりに見ると、執筆者自身の中国の党と政府への“気兼ね”が垣間見えてなりません。ウランフが内モンゴルの統一への努力をどう見るのかという根本的な評価がないからです。さらに、デ・ワン(徳王)に対する評価にも同じことが言えそうです。しかし、この国で、自らの考えや意見を言えないという背景があることはよく承知しています。
 
 では、“お前はどう見ているのか”ですって?私は日本人であって、内モンゴルの人ではありません。それぞれの生まれた国土、それぞれの拠って立つ立場、それぞれのおかれた環境、拠って立つ考え方でいかようにも考え方は出ます。ただ、これまでのような、中国共産党のいうことをうのみにした言いかただけは避けたいと思っています。
 
 ウランフの生まれたフフホト近くのトメド部はモンゴル中央部6部の一つであり、16世紀に部酋アルタン・ハーンがチベット仏教ゲルク派の首領ソナム・ギャムツォと連合したことは、内陸アジア史を根本から変えただけでなく、モンゴル人の世界観も根本から改造され、その後の運命が決定づけられました。アルタン・ハーンが建設したフフホトはモンゴル人にとって宗教の一大聖地となり、モンゴル人のパワーの内向きな傾向をモンゴル人の再興に向かわせるはずでした。
 
※アルタン・ハーン
 アルタン・ハーン(1507年〜1582年)は、モンゴルを支配したハーンで、ダヤン・ハーンの孫です。因みに「アルタン」は「黄金」の山を意味します。アルタイ山脈は、金の山というように。

この上下の写真は、アルタン・ハーンを
指しています。写真はなかったようです。
 
 ところが、その理想は実現されず、新興勢力の満州人と激しく衝突し、敗れたのでした。その結果、清朝時代にここは防備の重点地域となり、綏遠将軍という軍事要衝が置かれ、トメド部の首領であったチンギス・ハーンの末裔たちは消滅されました。清代に再編成されたトメド旗は他のジャクサ旗と違って、自主権がなく、満州人が総官をつとめる中央直轄地域となりました。
 
※綏遠将軍とは、およそ現在の北京市に相当する地域になります。この場合は、一個人の肩書ではなく、将軍府がおかれた都市のことです。のちに、満州の軍幹部が人の将軍として配置されましたが・・・
 

 
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