シルクロード日誌

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ウイグル人の生活習慣及び風俗・伝統あれこれ―9

インギサル出身の刃物商人

 

彼がインギサルの刃物商人

 

小刀やナイフなどは、ウイグル人男性が身につけるものとしては欠かせないものである。インギサルは羊の肉を切る作業は日常の仕事。こちらでは女性は肉を切らない。男の仕事である。この刃物の産地として有名である。エイティガル・モスク近くにできた新しいショッピングセンターの中で刃物を売っていたインギサルの商人に話を聞いた。

これはカシュガルで買ったパキスタン製のナイフ

しかし、このナイフは神戸税関で無残にも半分に切られてしまった。

刃渡り12センチ以上は輸入できないとのこと。

 

まず、「この新しい建物をどう思いますか?」と聞いた。私はシルクロードの雰囲気をそのまま残しているこのエイティガル・モスク周辺が好きだったのだが、最近、沿海部の資本が入り込んできて大工事が施され、“美しく”改装されてしまった。その姿に違和感を覚えていたので、聞いてみたのである。

 

だが彼はなにも答えなかった。シルクロードへの想いなど、彼らにとってはまったく関係のない、我々外国人の独りよがりのノスタルジーなのである。そんなことより、現実の、食っていくための商売のほうが重要問題なのだ。それとも、意見を口に出せない何かがあるのかもしれない。

 

一般にウイグル人は「シルクロード」という言葉を余り知らない。だからシルクロードの概念も出てこない。また私が漢語で「絲綢之路」と言っても、この単語は発音が難しいからかもしれないが、なかなか理解されない。もっとも、漢人がこの言葉を理解したとしても、彼らは、それで儲けることができるかどうかということぐらいしか考えないだろう

これは12センチ以内のナイフ

ウイグルの男はこれくらいのナイフを日常的に身に着けている

 

カシュガルから70キロほど離れたインギサルから来た彼らは、まだこの新しい建物に入って2週間しかたたないという。そして、家賃は3ヵ月たってから決まるという。契約もしないで入店するなんて、そんなことあるのだろうか。しかし「契約」というのは、近代合理主義のなせるわざ。彼らの生活習慣や日常生活の上では余り必要性を感じないのだろうか。「もっと大きなバザールがあったから、以前のほうがよかった。商売がうまくいくかどうかわからないけれど、新しいきれいな建物ができたのでここに入ることに決めた」とやっと答えてくれる。

 

「どれくらい売れればもうかるの?」と聞いた。

「私たちはイスラーム教徒だから、いくら売れるかは神様のお考え次第です。あまりそういうことは考えません」。

そうか、彼らには神様という強い味方がいたんだ、とその時、本当に思った。無宗教の私の思考には、そこが大きく抜け落ちていたのだ。

 

カシュガルの街は、いつ行ってもわたしの心を癒してくれる。近代化のために広く広がった道、天まで届くように高く突き出たポプラの並木道。道の脇を流れる小川、夏には子どもたちが丸裸で小川に飛びこむ姿が見えるが、初冬の今はあまり人影もない。

| シルクロードの光と影 | 09:41 | comments(0) | - |
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