シルクロード日誌

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ウイグル人の生活習慣及び風俗・伝統あれこれ ―13

 割礼の宴

 

友人に、カシュガル歌舞劇団の団員ヌル・メメット君がいる。世にメメット君はたくさん存在している。「メメット」とは「ムハンマド」のこと。これを漢語では「買買提」と書く。発音は「マイマイティ」。彼と同じ団員の息子の割礼の宴に出席した。「割礼」とは、おチンチンの先をかみそりなどで切って大人の仲間入りしたという意味である。

 12時開会予定と聞いていたが、実際には2時半すぎに開会。いや、とうとう本当の開会時間は最後まで分からなかったが、開会時間を気にする者は日本人の私くらいだったろう。

13年前(2004年)の私である。今とだいぶ違います。左がドライバー兼通訳のオスマン。

右側がメメット君。

メメット君は弦楽器の名手。その右は彼の師匠。

 

 歌舞団のパーティだけあって、男優・女優たちが次々と登場して、舞台の練習のような感じで歌い、踊る。歌舞団のOBやOGたちもかつての現役時代に競った自慢ののどや踊りを披露する。同席していた鼻の高いウズベク族の男性俳優が舞台に上がって歌の合間に漢語で私を紹介する。「この楽しい席にはるばる日本から友人が出席してくださっています。野口先生の出席は私たちの喜びであり、誇りです」と。私はテーブルから立ち上がって参列者に挨拶をした。しかしほとんどの参会者は、私など目もくれずに、おしゃべりに興じ、酒を飲み、あるいは料理に箸を動かすことに一生懸命なのである。

中国では少数民族としてのウズベク族の男優。

後姿の女優さんは踊りがうまかったが、絶世の美女でもあった。

真ん中の少女はまだ若い踊り手。その隣は彼女の母親。

ドライバーのオスマンジャン(オスマン君という意味)は、彼女にさかんに

アプローチをしていたが、母親のガードは固かった。

 

 私と同じテーブルの男たちは、先ほどまで口角泡を飛ばして語っていた「酒もタバコもやらないイスラームの伝統と習慣」などなんのその、煙もうもう、50度の「老酒」を次々とあける。昨日私に厳粛な面持ちでカシュガルの歴史を語ってくれたU君も強い酒を飲んで、もう足腰が立たなくなって、へたり込んでいる。そんな人たちをあちこちに見かける。私は以前、強い酒を飲んで“困ったこと”があったので、用心してビールとワインだけを飲むことにする。

着飾ったOBたち

舞台で精いっぱいのおしゃれをして歌っている。

右から2人目の女性は、みんなから「日本人のよう」といわれているようで、

翌日、私が劇団を訪問した時は、フルートで「浜辺の歌」を演奏してくれた。

瞬間的なホームシックにかかった。

 

 この宴席ではただ1人の外国人として座っている私のテーブルには、ものめずらしさも加わって数十人が入れ替わり立ち替わりやってきては、私との乾杯を促しては座る。正直に乾杯をしていたら、こちらの身がもたないので、ただにこやかにグラスを上げる。それもすべて男性である。ムスリムの国では、男性のいるテーブルに女性が来て気軽に話していくというようなことはない。私も話しかけてくる人たちを無視して、遠慮なく舞台で歌うプロの人たちの踊りや歌をカメラに収める。女優さんたちも美しく、かつての女優さんたちもそれなりに人生経験と貫禄が出ていて、美しい。

歌手たちですね。

 

 レストランのテーブルの数は約50。経費は1テーブルでおよそ200元くらいだという。合計で約1万元。無論、親の負担だが、祝宴の最中に司会者が各テーブルをまわって「○○さんから幾ら〜〜」と声高にお祝いの額や品物をアナウンスする。結婚の宴でも同じシーンを見たことがある。私は何も持たずに、手ぶらで出席してしまったが黙っていることにした。ここに来るまでは、ここに来ることを誰も言ってくれなかったのだから、私のせいではない。

 

 私も含めて日本人はスケジュールをきっかり立てないとなかなか動けないものだが、ここの人たちは、そういうものにとらわれない。いきなり人の家を訪ねることも普通である。そうそう、今日の主人公の7歳の男の子はどこにいたんだろう。気がつかなかった。「割礼の宴」といっても、しょせんは大人の楽しみなのだろうから、子どもに気がつかないのも当然といえば当然なのだ。

踊りも巧み。うしろには子どもたちがきちんと座っておとなしくしています。

みんな彼女の踊りに見惚れています。

 

 ところで、このような割礼式や結婚式、赤ちゃんが生まれた時の「ゆりかごの祝い」などは、昔は自宅で行なわれたものだが、都会ではだんだんレストランでやるようになってきているという。そうそう時期的に今頃から「ノウルーズまつり」である。ムスリムの友人たちからたくさんのお祝いのメッセージが来ている。

 

 経済的な豊かさに恵まれた都会人の中では、互いに見栄を張り、自分を裕福に見せるために、無理して接待を行なう傾向があるのだ(と、私はそう思っている)。しかし、それでも、10年ぐらい前と比較すると、だんだん無駄な浪費は抑えられる傾向にあるという。ここ新疆でも、人びとの意識は変わりつつあるようだ。

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