シルクロード日誌

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―55  共働きの実態と家計

 以前、日本に留学していたあるウイグル人留学生の例である。

 

 彼女は大学を卒業してすぐに研究所で働き始めた。彼女は結婚相手と結婚前に2〜3回しか会っていなかったが、親の決めた夫と結婚した。やがてウイグル人社会の当然のこととして、彼女は独身時代と違って自由に使っていた800元の給料をそっくり夫に差し出さなければならなくなったのである。そのうち1ヶ月25元(375円)だけを夫から「お小遣い」として与えられるようになって、彼女自身の経済状況が激変したのである。

 

 彼女が、そのわずかなお小遣いの中から本やブラウスや靴を買うのも夫の許可が必要だった。少し高いものを買うと夫からひどく怒られた。しかし、当時の彼女はそのことを当然のこととして何の違和感も感じないでいたのである。夫はといえば、妻には何の相談もせずに、妻の側でなく、自分の親兄弟への仕送りなどにつかっていたとのことである。

今日は掲載の内容に沿った写真がありません。

 

 

 しかしその後、仕事の関係で北京や上海などの沿海部や日本などの海外に研修や留学に行って、中国や日本など各国の女性の権利の存在や生活を知るようになった。そこで知ったさまざまな女性が自由な雰囲気で生活し、あるいは男性と対等に仕事をするような事実から、知識層でありながら新疆における男尊女卑のもとにいるわが姿の実際にやっと気がついたとのことであった。彼女はその後、夫と離婚した。

 

 ウイグル人女性にとって「離婚」という作業もかなりの難事業である。第一、離婚した娘がいると、周りから猜貎討量爾紡个垢襪靴弔韻悪い“といわれるので、理由のいかんを問わずに母親が反対するのである。さらに新疆の離婚法では、離婚を言い出したほうが、離婚後の取得分が少なくなるとのことで、離婚までには相当の苦労が必要だという。そういう新疆の地でも離婚率が急速に高まっていることは、さらに驚異である。

 

 ウイグル人女性知識層の最前線にいる彼女が、私たちから見れば、その程度の認識で離婚に踏み切れないでいるように、都市生活を営む他の一般女性やまして貧困層や農村地帯の女性たちが、わずかの希望も見出せずに、どれほど虐げられた状況のもとで生活しているかということは容易に想像がつく。21世紀に立ち至った現在でも、そのような姿が数多く、というより、ほとんどそれが当然のこととして、ここ新疆シルクロードの地、いやほとんどの発展途上国や地域に存在しているのである。

 

 しかし、この男尊女卑問題については、日本も含めて世界のどこにでも存在する普遍的な問題になっていることも、わたしは理解しているつもりである。

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