シルクロード日誌

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 ー57   ウイグル人の子どもたちの状況と体力・学力は

 トルファンの長老・エミット・ニヤズさん(70歳)から話を伺った。

 この長老は2001年8月に開催された「国際トルファン学学会シンポジウム」に出席した際に、紹介されて挨拶したことがあり、05年8月の同じ国際シンポジウムでも元気な姿を見せていた。

 

 「以前、不登校はなかったが、今は多少ある。高校を卒業しても仕事がみつかるあてがないことや、学費が高いため中学をおわってから高校に行かない子どもが多くなっている。一番問題なのは卒業してから、それぞれの子どもたちにふさわしい仕事がみつからないことである。だから親は子どもを学校にやらないで親の仕事を手伝わせるのだ。

 

 健康の面では、前よりは少しレベルが下がってきている。大きな理由の一つは、インスタント食品を食べるようになったことと十分な運動をしていないからである。家庭のことや畑の作業を手伝うものもいるが、自立心が強くなってきているため自分のことしか考えない子どもたちが増えてきたのだ」。

どこの世界でも同じである。

 「トルファン人は昔からイスラームの教えを大切にしている。家族の幸せのために子は結婚する。家でも街でもウイグルの習慣は大切にしなければならない。

2004年11月 ハミ(クムル)を訪れた際、ハミの十二ムカームを維持・保存させようと努力している方とお会いした。

 

 1978年の改革開放政策以降、ヨーロッパや日本の習慣が入ってきた。いいものも入ってきたが、悪いことも知って、若いものも間違いを犯すようになって来た。親に対する礼儀や挨拶や仕事を手伝うことなども少なくなってきた。マリファナやヘロインなども入ってきて、それに犯されるものも増えている。エイズも入ってきている。

 ウイグル人は昔から男と女の関係を大事にしてきたが、今はすぐに性交渉を持ってしまう。性病にかかる高校生も多い。これは私たちウイグル人にとっては、とてもよくないことである」。まるで現代日本の若者世代の病理現象を鋭く衝いているような言葉であるが、これがイスラームの規律を尊重し、ウイグルの伝統を堅く守っていたとされる現代ウイグル人の状況を端的に語った言葉なのである。

ハミへの旅はサラマットの夫の友人たちを訪ねる旅行だった。彼の友人たちが歓迎してくれた。

 

 すでに、アルズグリ先生はトルファンの長老・エミット・ニヤズさんとも親交があり、エミット・ニヤズさんからも「あなたはトルファンの誇りだから、日本でも一生懸命勉強するように」と励まされている間柄でもある。先に引用したアルズグリさんの論文は彼女が新疆で生活していた留学前のころのものである。現在ではだいぶ様変わりしているというわたしの報告にアルズグリさん自身は、「この言葉は保守的なお年寄りが、若い人の断片的な言動を述べているもので、多くの若者はそんなことありません」と必ずしも賛成していない。

ダッブを持った人が教え子。右端は私の運転手兼通訳のオスマンジャン。

 

 しかし、断言できることであるが、欧米近代合理主義の「負の遺産」は、一家団欒、親や年長者には礼節を尽くすウイグル人青少年の中にも確実に入り込んできている。それは、日本という国ではもうすでに立証されていることなのである。このエミット・ニヤズさんのような情緒的な分析が許される時点はもうとっくに過ぎているのである。

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