シルクロード日誌

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「友」が生きていた!!!

171109  野口 信彦

今年恒例、7月のシルクロードツアーの下準備も終わろうとしていた5月16日、突然、ウルムチの「友」から自宅に電話がかかって来た。

「野口さん、7月のツアーをキャンセルして下さい。安全局が何度もわたしの事務所に来て、わたしを調べています。いつ捕まるかわからないので、わたしはドキドキしています」との電話。

きょうの写真は1枚を除いて、すべて私の撮影したものです。

ここは西域南道の砂漠の中。

 

安全局とは、分かりやすく言えば戦前の日本の特高警察のような存在。しかも、中国の軍事費予算を上回る巨額の予算をもって、“国の安全”のために働いているところ。

今でも子どもが親の言うことを聞かないと「言うことを聞かないと安全局に連れていってもらうよ」といわれるほどの鬼の住むようなところといわれている。

10年ほど前に、プロカメラマンの息子を伴って旅でのウイグル女性の踊り。

これは彼の作品。

 

突然のことで、さすがの私も狼狽した。と同時に、安全局がそこまでするとはどういうことが原因なのか、とも考えた。日ごろの私の日本での言動が原因なのか。それとも・・・・思案を巡らせたが、どうにもわからない。

ホータンの並木道。これがシルクロードの象徴的なシーンですね。

 

ともかくツアーは急きょ、敦煌から東へ向かう河西回廊から青海省の西寧市、そこから最後は西安の兵馬俑などを訪ねるコースに変更した。ウイグル人のいる新疆でなければよいのだ。

しかし、ずっと頭から離れないのは、その「友」の安否である。何度もメールを送ることは、かえって彼に迷惑になるから送れない。電話もできない。彼の安否を心配するしかできないのだ。

どこかのバザールでの老人。かれはこれで50歳代ということでした。

 

さらに追い討ちが来た。

今年定例の秋のイベントを11月5日に準備していたが、生涯に一度のチャンスともいえる「楼蘭」へのツアーのお誘いが来たのだ。しかも11月5日出発になっている。イベント開催を1日早めてもらって、ワイフにも相談し家計からの支出も得て(100万円の費用)参加することになっていたのだが、これも突然のキャンセルの連絡。

理由を聞くと「10月18日から中国共産党大会が開かれるから」ということだった。

これが新疆シルクロードを代表するような絵画です。新疆ではどこへ行ってもこの写真があります。

 

いったい中国はどうしてしまったのだろう。

10月中旬の北京での党大会と7月の新疆シルクロードのツアーに、どんな不都合があるのだろう。

北京での党大会が終わってからの、はるか離れたタクラマカン砂漠のど真ん中へ行くツアーとの間にどんな不都合があるのだろうか。どうしても不可解である。

 

11月4日に開催したわがクラブの秋のイベントに、新疆シルクロードの干し葡萄の販売をお願いしたウイグル人の友人に、消息の途絶えた「友」の様子を話しても、ただただ暗い顔をするだけだった。“もう、この世にいないでしょう”といわんばかりの顔で・・・

うれてもうれなくてもかまわないのだ、と主張しています、彼は。

 

それがきのう11月6日午後8時20分頃。

突然、わが家の電話が鳴った。受話器を取ると聞きなれた「友」の声であった。わたしは奇声に近い声をあげてしまった。「お〜〜お〜〜、○まるさんかい?どうしてた?生きていたのかい?」としか言えなかった。もう彼は日本へ来ることもできない。私が個人的に新疆を訪れることも不可能。「何人かでツアーとして来られるなら会えますね」と彼は言うのみだった。逮捕はされなかった、会社も解散されなかったという。

この赤ちゃんがいつまでも安全で幸せな生活ができるようになるのはいつのことでしょうか。

 

受話器を置いた私は、自然と大きな声で泣いていた。オイオイ泣いた。うれし泣きだった。いい年をして泣くことなどあまりなくなったのだが、この時ばかりは泣いた。うれし泣きであれば、いくら泣いても誰も困らないだろう。

ワイフは黙っていた。数カ月、わが家にステイしてお世話もした「友」の無事を黙って喜んでいるのだろう。

| シルクロードの光と影 | 10:13 | comments(0) | - |
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