シルクロード日誌

日本シルクロード文化センターのブログページです。シルクロードに関する情報、コメント、旅日記などを綴ります。
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新疆シルクロードを平和と友好の道へ

     まわり道だけど、大事なこと

 

 現在の日本では、ウイグル問題において避けられない重大な課題があります。主として日本人の側の問題です。

 それは、かつて軍部が武力で政府首脳を暗殺して大陸侵略への道筋をつくっていった戦前の右翼・民族主義者たちの系譜線上にある現在の日本会議をはじめとする右翼や右翼暴力団あるいはその思想に共鳴するさまざまな人びとが、以前からウイグル、チベットやモンゴルとの友好を願っていた人たちと融合し「ウイグルやチベットに人権復活を!」と主張して在日ウイグル人、チベット人やモンゴル人を組織しようとしていることです。

 

 彼らの活動の目的は、日本において、中国に反対してウイグルとチベットの独立をめざす組織をつくること、日本人を主体とした友好関連団体を組織しようとしている活動があります。

 

 率直に言って私にもそれらの活動へのお誘いがありました。しかし私ははっきりと断ります。「私はウイグルの問題は理解できるが、具体的な協力はできない。なぜなら、日本人がウイグルの独立運動を行うことは内政干渉であるし正しくないからである。大切なことは、ウイグルの人びとが独立したいという要求があるのであれば、自らの努力で切り拓くこと、その目標について中国人(漢民族)や日本人や国際世論の支持を適切に得る必要があること。平和と民主主義、独立と人権そして非暴力は不離一体であり、国際的な支援が必要である」との考えがあるからです。

 

 お誘いを断るもうひとつの理由があります。それは日本とウイグルの友好をめざす団体の一部幹部が、右翼暴力団と密接なつながりを持っていることです。

 08年の夏、ウイグル人と日本人とが、中国当局によるウイグルへの弾圧に反対して集会とデモを行った際、“暑いから”とエアコンの利いた”黒い高級車から冷たい水や氷などを提供した者”が有名な右翼暴力団体の活動家たちだったからです。ウイグル、チベットの独立運動を日本の右翼団体が牛耳ろうとしているのです。かつての“「大東亜共栄圏」の夢よ再び”という侵略志向の徒党の企みです。これでは運動の正しい発展はありません。

 

 日本人がどのような志向の団体に加わるか活動するかは自由ですが、民主主義を根本から否定し、反共と暴力を主体とする団体が、外国人の活動をサポートすることは許されません。それはとりもなおさず、在日の彼らの夢と運動を破壊することにもなるのです。これでは日本の広範な国民のなかの階層や団体・政党が影響力を正しく発揮することが不可能だといえます。

 

 ここでいう「反共」とは、共産主義に反対するという意味や社会主義の中国に反対するというせまい見方ではなく、民主主義や人権を無視して、大陸への侵略志向を忘れられない勢力として、国民の民主主義的で友好的な発展を願う人びとを露骨に敵視して、暴力で敵対しようとするものたちのことを指します。ヘイトスピーチの流れをくむ勢力ですね。

 

 さらにいえば、私はそれらの運動は、必ず、非暴力でなければならないとも考えています。たとえば、中国人民解放軍百万の軍隊に対して、十人か数十人がテロという手段によって爆弾を仕掛け、あるいはナイフやピストルで立ち向かっても何の展望も見出せないからです。

 

 現在の中国では、無届の(届けても許可されないでしょうが)集会やデモなどは、たちまちにして武装警察に弾圧され、抗議・抵抗でもすれば多くの人びとが逮捕され殺されてしまうのが現状です。集会・出版や言論・表現の自由などは、欧米をはじめ先進諸国や途上国の人びとが、数百年にわたる長い困難な戦いと運動を経て獲得した共通の権利です。まず、これらの市民的権利を獲得することから運動は始まるのだろうと思います。

 

 まして、中国の現状では、少数民族の多くが敵視している漢族自身にも、まともな民主主義と人権と法制が保障されていません。長い目で見れば、それはウイグル人などの少数民族と漢人の共通する目標でもあるのだといえます。ウイグル人にとって、漢民族の支持を得るなど、現在では考えられないことでしょうが、大きな目標を達成するには、それくらいの困難を克服する覚悟と確信と度量がなければ成就できないこともまた理の当然です。

 

 ウイグルの現状と事実は、おそらくほとんどの日本人の皆さんの知らないことです。また、私の考え方も在日のウイグルの人たちには、なかなか理解できないことだろうし賛成できないだろうとは思いますが、この考え方こそが正しい国際友好活動の基本だと確信しています。非暴力こそが大きな力を得るのです。

 

 おわりに

 シルクロードは余りにも広大無辺です。従来の、“シルクロードは長安からローマまで”という既成の狭量な概念から、その向ける眼(まなざし)を、人類文明の往来があった地球すべてに向けるならば、シルクロード興亡の歴史、文明往来の歴史とともに、侵略と戦争、平和と友好の実相がくっきりと浮かび上がってくるのではないでしょうか。

 

 すでに「戦争と侵略の道であったシルクロード」を「平和のシルクロード」に転換させる21世紀になっているのです。そうであってこそ、悠久の歴史とロマンと憧憬とを併せ持つシルクロードが、その内実を、平和と友好というリアルなロマンに転換させてくれると確信しています。

 

 シルクロードはその意味を超えた人類文明のネットワークであり、人類が永遠に探求すべき平和の道でもあります。ロマンだけではない、シルクロードの“リアルなロマン”を世界のすべての人びとが享受できるためにも、このすばらしきシルクロードを、そして、このすばらしき地球を、人類文明の平和と発展とともに永遠に残していきたいと思っています。

 

 

きょうもイメージ写真です

ウイグル民族を象徴する絵画です

ウイグルの娘さんは踊りが好き(我が息子殿の作品です)

北新疆の草原にカザフの家族の朝が来た。

タクラマカン砂漠横断道路

カシュガルの小学校で。今はウイグル語が禁止されています。

この子たちの未来に誇りと自由と人権を

ウイグルの地で最大のエイティガル・モスク(カシュガル)。

最近ではこの広場が、特警の休憩所や駐車場になっています

| シルクロードの光と影 | 10:38 | comments(0) | - |
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