シルクロード日誌

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東西トルキスタンとモンゴル高原及び新疆の少数民族  2007年7月 野口信彦

仏教系の民族

 

栄光の歴史を持つ モンゴル族

モンゴルの世界制覇の軌跡

 

小部族だったモンゴルの長カブル・ハーンが諸部族の統一を果たしましたが、金代に崩壊しました。この曾孫に当たるテムジンが、さまざまな苦労と戦いの末に再統一をはかって、1206年にクリルタイ(部族の大集会)を開いて首長になりました。

ここで、はじめてテムジンは「チンギス・ハーン」と称したのです。これ以降、〔モンゴル〕という名のもとに、言語がほぼ同じような諸部族がまとまるだけでなく、言語を越えてチュルク系の民族のモンゴル化がすすんだのです。

チンギス・ハーン

 

因みに、モンゴルを中国は、「蒙古」というようになりましたが、「蒙古」の「蒙」は、いわずとしれた、「無知蒙昧」から来ている蔑称なのです。ことほどさように「中華思想」は、自分以外の民族を貶めることに長けているのです。

 

わたしたち日本人にもこのような背景を知らずに、無意識に「蒙古」と話す人がいます。とくに戦前からの教育の影響を受けた人が多いですね。これは明治維新以降に現れた「朝鮮人」を蔑視する考え方に由来しています。気をつけたいものです。

 

のちに王朝を構成した元朝が崩壊して、モンゴルが漠北のかなたに戻った集団、いわゆる「北元」を〔韃靼(だったん=タタール)〕と呼んだのは、漢族としては元朝の後継として理解されるような〔蒙古〕の漢字を使用するわけにはいかなかったからです。この〔韃靼〕という名前はほんらい、モンゴル統一以前におけるモンゴル系の有力な集団のひとつだったのです。

 

※ここでお断りしておきますが、「モンゴル」は、当時、ほぼ世界を統一したモンゴル民族のことで、そのうち、現在の中国にあたる部分を統治したのが「元」だったわけです。知っているようでなぜか、混同している方が多いのでひとこと。

 

しかし、統一以後のモンゴル族が自身の民族名として、「タタール」を用いたことはなく、おもにヨーロッパがつけた“他称”といえるでしょう。日本でもタタールを漢字にした「韃靼」があります。そのなかには司馬遼太郎の小説「韃靼海峡」があり、「韃靼ソバ」があります。司馬遼太郎は別としても、各地で使用しているところでは、そこまで理解して使われているか疑問です。

「韃靼そば」を名乗るいくつかの店に電話で韃靼の名前の由来を聞いたところ、それを知っていたお蕎麦屋さんは一つもありませんでした。

再び、この美しいタタールの少女に登場していただきましょう

 

 

一方、東トルキスタン(現在のほぼ新疆に当たる地域)のアルタイ西部に割拠したモンゴル系諸集団は〔オイラト〕とか〔オイロト〕と総称されるようになりました。元朝の後裔であるモンゴル(=韃靼)と、そうでないオイラトとの間の対立は強く、その後のモンゴル史を決定づけ、こんにちでも民族内対立は潜在しているのが現状といえそうです。

オイラトのキャラバン

 

それでは、現在のモンゴル国を見てみましょう。

モンゴル高原からジュンガリアを含んだ満州族の清朝が崩壊したのち、1924年に成立した「モンゴル人民共和国」は、実質的にソ連の植民地のようになっていましたが、ソ連崩壊のあおりを受けて、92年に「モンゴル国」とその名称を改めました。

 

ロシアと中国の二大国のはざまにあって、一応の独立国家を維持していたモンゴルの総人口は270万人に達していました。この地域は、15世紀から16世紀にダヤン・ハーンやその孫アルタン・ハーンが制圧して以来、東部から移動してきたハルハ族が主体となっていました。

 

北部には、ブリヤートが多く、その大半は1920年には、ロシアから南下してきた集団であり、反革命分子とみなされてスターリンの大粛清の犠牲となったため、系譜が断絶しています。社会主義の夢と理想をぶち壊したスターリンは、おそるべき数の人びとを殺害しました。

 1990年に200人近い山岳団体の会員を実務責任者として帯同してカザフスタン&キルギスの天山山脈に行ったとき、友人になったカザフスタン山岳連盟のストゥヂューニン会長がこういっていました。「ヒトラーはユダヤなど外国人を殺したが、スターリンは自国民を殺したという点で、ヒトラーより悪人だ」と。

 

一方、西部にはオイラト・モンゴル系のドルベド・バヤト・トルグート・ウールドおよびミャンガン・ザハチンなどのモンゴル諸集団やカザフ、ホトン、ウリヤンハイなどの諸集団が集中しています。

日本在住のオイラトの女性

 

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