シルクロード日誌

日本シルクロード文化センターのブログページです。シルクロードに関する情報、コメント、旅日記などを綴ります。
この世に地獄はあるのか! ―シルクロードは平和でこそ発展するべきです―

“ウイグルはいま、地獄です”。この言葉は、海外在住のあるウイグル人の表現です。

 “そうだろうな”とは思っていても、どれほどのものかを知りたかったのですが、ちょうど15回目の来日だというウイグル人の指導者ラビア・カーディルさんの講演会がありました。

ラビア・カーディルさん

 

 その前に一言付け加えておくことがあります。

 数年前、研究者のある方が、彼女の講演会でお話をしてほしいと依頼されました。周りの研究者仲間は、それに参加すればどんな結末になるか知っているから必死で止めました。そして熟考した彼はやめました。

 それは、それらの活動を、中国大使館をはじめ日本の各地で中国の権力機関が、ウイグルやチベットの運動を「監視」しているということを意味しています。

 

 ですから、それらの活動に協力あるいは参加するとなると(とくに中国との関係の深いシルクロード関係の研究者にとっては)、もう中国には入れなくなるという致命的なことが起こります。

中国の地図と赤い地域が新疆ウイグル

 

 私の友人も数年前に来日した際、ラビア・カーディルさんの講演会で話をしてくれと言われて、前向きになっていました。彼女も「私の日本滞在中にお世話になった方からのお願いですので・・・」と。私も彼女の友人たちもそれを止めました。ラビア・カーディルさんの講演会をセットし、各地の講演会に付き添ったある大学講師の女性は、そのことが原因で北京空港で入国禁止措置となりました。

 

 ことほど左様に、この件はシビアな“危険をはらんでいる”ことなのです。

 そのラビア・カーディルさんの講演会が先日開かれました。

 私は、今度はちゅうちょなく参加しました。ある覚悟をもって。

 

 海外在住の人はもちろんですが、日本在住の外国人も、日本の政治、その潮流や左右の対立などを知るすべはありません。

 率直に言って、ラビア・カーディルさんの講演会はまじめなウイグル人のほかには、日本人ではほとんどが右翼関係の人たちの活躍の場になっています。

 

 もっと率直に言いますと、彼ら日本人は「右翼」という政治的な立場から「中共を倒せ!」という一念に凝り固まっています。あるいはそのような人物の影響を受けている方がたが大勢を占めています。中国が「共産主義で左だ」と思っている方は、「反共右翼」だということになります。

 

 思想信仰の自由ですから、誰が何を支持していようと構わないのですが、外国の独立や民族運動などを、外国人が直接手を出すことは、「国際主義」から逸脱した「外国干渉」となる時代です。

 長くなるので、続きは明日にしましょう。

 

| ウイグル情報 | 07:20 | comments(0) | - |
朝日デジタル版より転載
(@上海)進む情報統制 成立から60年の新疆ウイグル自治区

 きょうは、朝日新聞デジタル版から12月4日付けの上海支局長。金順姫氏のリポートを転載します―野口。

中国・新疆ウイグル自治区のウルムチで10月1日、自治区成立60年を記念する式典があり、民族衣装に身を包んだ人々が集まった=AP

この部分には写真が掲載されていましたが、私の技量では掲載できませんでした。

特派員リポート 金順姫(上海支局長)

 中国の新疆ウイグル自治区は今年10月1日、成立から60年を迎えた。中国西部に位置し、中央アジア諸国と国境を接する地域で、イスラム教を信仰するトルコ系のウイグル族が多く住んでいる。清朝に征服されたあと1930〜40年代には独立が宣言されたが、49年の新中国成立を経て、55年に自治区が設けられた。その後、漢族の大量移住が進んでいる。 私は上海に赴任後、一昨年、昨年と、たびたび新疆ウイグル自治区に赴いた。多数の死傷者を伴う暴力事件が続き、そのつど急いで現場に向かった。事件の端緒を自治区政府系ニュースサイト「天山網」などでつかむことも少なくなかった。

 自治区の成立から60年を迎えた今年、一つの変化を感じている。暴力事件について得られる情報が大幅に減った。中国当局は事件が起きたこと自体を外部に知ら せたくないのだと感じる局面が増えた。もともと多くない報道の量をしぼるだけでなく、ネット上に情報を流出させないよう、情報統制を従来よりさらに厳しく している様子もうかがえる。

 新疆をはじめ中国各地では近年、少数民族のウイグル族が関わったとされる暴力事件が相次いできた。背景には、中国当局の抑圧的な少数民族政策や、漢族とウイグル族の対立感情があると指摘される。自治区の政治や経済の主導権は漢族が握り、イスラム教の信仰で自由な宗教活動が認められないとの不満もウイグル族側に鬱積(うっせき)している。

 当局には、容疑者がウイグル族であることに焦点が当たるのは避けたい思惑があるとみられる。深刻化する少数民族問題に国際社会の注目が集まるのは、当局にとって望ましくないからだ。事件発生や容疑者検挙を宣伝するほど、そうした事態に陥ってしまうとのジレンマを抱えているのだろう。

 当局は情報統制のかたわら、自治区の共産党員、党幹部への引き締めを強めているようだ。
 自治区の共産党規律検査委員会は11月1日、自治区党委員会の機関紙・新疆日報の元編集長の党籍を剝奪(はくだつ)すると発表した。新疆政策について、党中央の方針に反対する言論を公表したことなどが問題視された。
 また、11月24日付の中国紙によると、自治区の共産党規律検査委員会トップは、一部の幹部が「民族分裂反対、民族団結の維持、祖国統一の重大な問題で態度が揺れ動いているばかりか、暴力テロ活動を支持、参加している者までいる」と非難したという。
 情報を表に出さず、内部を引き締める。中国当局が腐心するのはそれだけではない。あえて情報を出すことで、対外的に自国の立場をアピールすることもある。

 自治区党委員会の機関紙・新疆日報は11月20日、9月18日に新疆ウイグル自治区ア クス地区バイ県で炭鉱襲撃事件が起きたと伝えた。約50人が死亡したなどとして先行する海外の報道に当局は沈黙を続けていたが、「11月12日までに容疑者28人を射殺した」と政府系メディアが報じ、襲撃事件が起きていたことを認めたのだ。犠牲者は警察関係者を含む16人で、容疑者らは国外の過激派組織か ら指示を受けていたとした。

 海外メディアが報じていても当局が発表しない事件はほかにもあるのに、なぜこの炭鉱襲撃事件を明らかにしたのか。パリの同時多発テロ事件を受けて国際的に「反テロ」の機運が高まるなか、新疆で続く事件とそれを抑え込もうとする中国当局の動きをその流れの中に位置づける狙いがあるのではないか。こうした見方が出ている。

 中国当局はこれまで起きた一連の事件を「テロ」と位置づけ、「東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)」などのウイグル独立派が関与していると強調してきた。自治区の区都ウルムチで10月1日に開かれた成立60年の記念式典では、共産党最高指導部で新疆問題を担当する兪正声(ユイチョンション)・全国政治協商会議主席が「テロ活動に容赦なく打撃を与えることを、当面の闘争の重点としなければならない」と演説した。

 中国の王毅外相は11月15日、トルコで主要20カ国・地域(G20)外相による昼食会に出席し、パリの同時多発テロを強く非難した。そして、中国もテロの被害者であり、ETIMなどの取り締まりも国際社会の反テロの戦いの一部であると述べている。
 ウイグル族をめぐっては近年、中国南部の雲南省広西チワン族自治区などから不法に国境を越え、東南アジアへと逃れる動きが表面化している。中国の治安当局は、不法出国したウイグル族が東南アジアやトルコを経由して「イスラム国」(IS)などの過激派組織に合流し、訓練を受けたあと中国に戻ってテロを起こすことを警戒している。

 一方で、事件の容疑者らが国外の過激派組織と関係を深めているという当局の見解はウイグル族への締め付けを正当化するための口実であり、ウイグル族の不法出国は「抑圧から逃れるため」だとする見方は根強い。ウイグル独立派の活動実態やこれまでの事件との関連には不明な点が多い。

 習近平(シーチンピン)指導部は自治区成立60年にあたって、「各民族の生活水準は大幅に向上し、衣食住の環境も大きく改善した」として、経済発展などを輝かしい成果と誇ってみせた。だが、新疆はいま、暴力事件が頻発する重苦しさと混迷の中で、輝かしさとは遠い状況にある。
     ◇
 金順姫(きむ・すに) 上海支局長。1999年入社。広島支局、京都支局、西部報道センター(福岡)、中国留学などを経て2012年10月から現職。39歳。ツイッターアカウントは@kim_soonhi


※私(野口)は、これまで日々のウイグル民族の動向に関連する日誌を書き続けていましたが、書ききれないほどのニュースがあふれていた時期がありました。それは「ウイグル民族の暴行がいかにひどいものか」というものばかり。
それが、このところトンと音沙汰がなくなっていました。やはり、私の思惑通りのコトの推移があったのですね。
 しかし、この金支局長のリポートは、上海在任中ということもあって、かなり抑制された書き方をしています。実際は、もっと率直に書きたかったのでしょうが、上層部の政治的判断などで抑制されたものと思えます。私自身への情報提供も極端に減っています。なおかつ、両極端に傾いてきています。
“両極端に”です。
 
| ウイグル情報 | 05:19 | comments(0) | - |
ウイグル人学者に無期懲役の判決
きょうの報道によると、ウイグル人学者に無期懲役の判決が下されました。
北京在住のウイグル人で中央民族大学准教授で著名な経済学者イリハム・トフティ氏(45歳)がウルムチの二審判決公判で、21日、無期長期の判決が下されました。
新疆クズルス・キルギス自治州アルトゥシュ市の出身です。


イリハム・トフティ氏資料映像
以下、「資料映像」の断り書きのない写真は筆者撮影

 
イリハム氏は、ウイグル人の民族問題に関してはそれほど急進的な考えの人ではありません。ウイグルの独立を主張したことはありませんでした。しかし、彼の民族問題に関する言論を当局は危険視していたようです。むしろ、急進的な若いウイグル人からは、“なんであんな生ぬるいことを言ってるんだろう”と批判的な言葉を投げかけられるほどでした。
 
2009年のウルムチ騒乱の際には、ウイグル人と漢族との相互理解を進めるためのウェブサイトを立ち上げたようですが、その中で新疆政府への批判を行ったことが国家分裂罪に当たるとみなされたようです。

北新疆の空を飛ぶ鷹

天空の草原・ナラティ

 
「罪状」は、新疆ウイグル自治区の現状などを発信したとあります。その結果が上に書いたような「国家分裂罪」とのこと。
もうすでに中国当局にとって、新疆の現状を正しく知らせるだけでも、国家分裂に相当する罪になるということになります。それならば、理屈から言えば、そのような現状をつくりだしている中国政府当局こそ真犯人になるわけです。政府と党そのものが「無期懲役」です。
 
新疆の現状で、独立を求めることが妥当かどうかは、ウイグル人と漢族の問題ですので、私はここでは立ち入りません。
しかし、少なくとも民族の自決権を求め、真の人権と民主主義を守らせる要求は当然のことです。そのような要求を通すために暴力を使うことには反対です。しかし、そのような要求をするウイグル人にたいする党と政府による軍隊と警察の暴力を使っての暴力こそ、いま批判されるべきですし、世界の世論でやめさせなければなりません。
 
 
下記は、「チベットNOW@ルンタ」の転載です。

ウイグル人の人権擁護を訴え続けているウイグル人知識人イリハム・トフティ中央民族大学准教授は、これまでにも何度も中国当局に拘束されている。今月(1月のこと)15日、彼は再び自宅から当局により連行された。彼の居所や連行理由は一切公表されず、当局は単に「法律に違反した疑いにより拘束した」と発表している。

彼の連行と同時に彼の生徒6人も拘束された。また、彼の家の前には10人以上の監視員が張り込み、妻と2人の息子は「自宅監禁状態」にあると言わる。

これに対し、アメリカ政府は次の日、「イリハム・トフティの拘束は中国政府の政策や行動に対し平和的手段で異議を訴える弁護士、活動家、ジャーナリストたちを逮捕するという一連の憂慮すべきパターンの一部である」として中国政府を非難し、即座に彼を解放することを求めた。さらにEUも同様の非難を17日に発表した。

これに対し中国政府はいつものように、「中国の法律は神聖にして厳正なものであり、我々は法律に従って彼を拘束しただけである。他国が人権を口実に内政干渉することは決して許されない」と応じている。

イリハム・トフティ教授の盟友である作家王力雄が中心となり、妻のツェリン・ウーセル(チベット人)や中国内外の学者、文化人が彼の解放を訴えるための署名活動を開始した。

以下は在大阪の作家、翻訳家であり、王力雄やウーセルの友人でもある劉燕子さんが日本語でこの署名活動に協力を訴えられているものである。是非この署名活動に協力して頂きたいと思う次第である。

 
写真左より王力雄、ツェリン・ウーセル、イリハム・トフティ=資料映像。

諸先生。こんばんは。
産経新聞に拙文が掲載された翌日、15日、中央民族大学のウイグル人准教授、穏健派の知識人、イリハム・トフティ氏が、天安門突入炎上事件はテロと決めつけるべきでないなどと発言し、拘束されました。
産経掲載の拙文は、このサイト


ラサ・ジョカン寺での五体投地

ラサのポタラ宮のまわりをウォーキングするラサ市民


ツエタンの仏塔


同所の仏像

 イリハム氏は1969年生まれで、経済的発展により近代的市民意識が広まり、民主化が実現すればウイグル問題も解決するとの考えで、中国語のサイト「ウ イグル・オンライン」の創設者です。2009年の「ウルムチ事件=7・5流血事件」のとき、彼も拘束されましたが、王力雄氏が中心となりイリハム氏の支援 活動が起こされ、8月に釈放されました。
 そして、昨日、王力雄氏、ツェリン・オーセル女史たちは、彼の釈放をアピールしました。今日までの二日間で、内外から500名以上の署名者となりました。
 アピールの要点は、イリハム氏は2006年に「ウイグル・オンライン」を創設したが、数回も閉鎖されても、それを続けてきました。それは中国語で新彊問 題の真実を知るための重要な窓口です。彼はウイグル人と漢人の間を橋渡しする貴重な存在です。そして、次のことを呼びかけます。
1.当局は説得力のある事実と証拠を示せ。言論を理由に罪を負わせるのは止めよ。そうでないならば、即時釈放せよ。
2.本人と家族の自由、基本的人権を守れ。弁護士の選任や面会を許可せよ。
 2008年のラサ事件、2009年のウルムチ事件から今日までの中国の民族政策の失敗は明らかである。イリハム氏の逮捕は、ますます政策の誤りに拍車をかけるだけである。全ての中国人は、問題の追及や真相の究明の権利がある。また、自分の未来に責任を負うべきである。
 他の国の国民も同様な権利がある。何故なら、ウイグル人の苦しみは人類の苦しみであり、中国の将来の災禍は世界に及ぶ危険性がある。
 賛同の意志を署名で表すことを念願する。

署名のサイト
 
署名を確認できるサイト
 
感謝を込めて。 劉

 
 
| ウイグル情報 | 10:21 | comments(0) | - |
新疆ルクチュンでまた犠牲者が多数出ました。
28日午後11時56分の共同通信の配信です。

新疆ホータンで暴力事件 ウルムチでも発生か

2013.6.28 23:56 アジア・オセアニア

 中国国営新華社通信によると、中国新疆ウイグル自治区南部のホータンで28日、暴力事件が発生した。死傷者数など詳しい状況は不明で、現地当局が調べている。区都ウルムチでも暴力事件が発生したとの情報がある。

 同自治区では26日にトルファン地区のピチャン県ルクチュンで35人が死亡、25人が負傷する衝突事件が起きたばかり。暴力事件が頻発しており、支配層の漢族と、ウイグル族など少数民族との対立が深刻化している可能性がある。

 インターネット上の書き込みによると、ホータンでは刃物を持ったウイグル族100人以上がオートバイで走り回り、歩行者らに切り付けた。ウルムチでは刃物を持った2人組が警察施設の敷地に柵を乗り越えて侵入し、警察側が発砲して1人が死亡、もう1人が負傷したという。(共同)


29日 アメリカ政府系ラジオ、「自由アジア」のニュースを共同通信が午後2時半に配信しました。

ウイグル族2人を射殺か 中国・新疆自治区

2013.6.29 14:30

 米政府系放送局ラジオ自由アジアは29日までに、中国新疆ウイグル自治区ホータン地区で28日、少なくともウイグル族2人が警官に射殺されたもようだと報じた。住民の話として伝えた。 住民によると、モスク(イスラム教礼拝所)での礼拝を終えたウイグル族の若者グループがオートバイで帰宅途中に宗教的なスローガンを叫んだところ、「驚いた警官が発砲し、少なくとも2人が死亡、1人が負傷した」という。

 一方インターネット上には28日、ホータン地区で刃物を持ったウイグル族100人以上がオートバイで走り回り、歩行者らに切り付けたとの情報が書き込まれた。 ウイグル自治区のニュースサイト「天山網」は、ホータン県で28日午後、武装グループによる騒動があり、公安当局がメンバーを拘束したが、住民に死傷者は出なかったと報じた。(共同)


新疆トルファン地区のピシャン県ルクチュンでまた犠牲者が多数出ました。
次のニュースは、29日午前4時頃のものです。

 詳細は分かりません。

いつものように中国政府側の一方的な報道だからです。

また、いつものように一方の側だけからのニュースが流され、もう一方の側の客観的な報道は全くなされません。外国の通信社が多少、その努力をしているにすぎません。

過去の裁判でも、政府が任命する弁護士がつくだけで、裁判記録も「被告」の陳述も全く知らされないままです。

「朝日」新聞を中心としたニュースを送ります。

 

「襲撃」された交番


新疆ウイグル自治区で暴動、27人死亡 新社通信報道

 【北京=林望、上海=金順姫】中国の国営新華社通信(英語版)は26日、新疆ウイグル自治区北東部のルクチュンで同日朝、暴動が起き、警察官や市民ら計27人が死亡し、3人が負傷した、と伝えた。ナイフなどを持つ「暴徒」が地元の警察署や政府庁舎を襲い、複数の警察車両が放火されたという。当局は現場周辺を封鎖し、厳戒態勢を敷いている。

 新華社は死傷者の民族などを伝えていないが、26日は、広東省の玩具工場でウイグル族が漢族に殴り殺された事件から丸4年に当たる。この事件をきっかけに同自治区では2009年7月にウイグル族と漢族が大規模な衝突を起こし、約2千人の死傷者を出した。今回も民族対立を背景とする暴動の可能性もある。

遺体が転がっている悲惨な状況です。




☆―野口―これは6月27日に掲載された朝日新聞の記事です。


 ルクチュンはトルファン地区ピチャン県の一部を構成している、落ち着いたのどかな小都市です。

 新疆においては、09年7月の「ウルムチ大虐殺事件」(私の命名です)以来、特に警備が厳しくなっています。新疆だけではありません。

 昨年訪れたチベットのラサなどでも10名単位の特警が自動小銃に引き金をかけて威圧的な行進を繰り返していました。最後尾には消火器をもった兵士がいます。焼身自殺するチベット僧が後を絶たないからです。

 

 私が先日、北新疆を訪問したあと、ウルムチに帰りついてウイグル人街のバザールの立ち寄った際にも、同じように10人ほどの特警が威圧的に立ち並んでいました。みないずれも180センチ以上もあるかのような大男ばかりです。なかには漢人の女性軍人もいますが、みな体格の良い者ばかりでした。

 通り過ぎるウイグル人たちは、みな、見て見ぬふりをしていますが、心の中では“怒り”に燃えていることでしょう。

 

 続いて下の記事は、28日の朝日新聞朝刊に掲載された記事です。

 (写真は掲載されていません)。

 親しい友人のフエースブックから拝借しました。

 

上記3葉の写真は、いずれも中国のウェブサイトから得た写真です。

ですから、漢人が殺された写真が揃えられています。



新疆ウイグル自治区の暴動、死者35人に 新華社報道

 【ウルムチ=金順姫】中国の国営新華社通信は27日、新疆ウイグル自治区北東部のルクチュンで26日に起きた暴動で、死亡した人の数が35人にのぼったと伝えた。ウイグル族16人、警官2人を含む24人が犠牲になったほか、警官がその場で射殺した「暴徒」の数は11人となった。

 同自治区では2009年7月、ウイグル族と漢族による大規模な衝突が起き、約2千人の死傷者が出ている。新華社は事件の背景に触れていないが、今回も民族対立が背景にある可能性がある。当局は27日、現場に通じる道路に検問を設け、メディアなどが近づけない厳戒態勢を敷いた。

 

☆―野口―報道はいずれも中国の国営通信社・新華社の報道です。いつものことですが、ここにウイグル人の意見は何ら反映されていません。そのご、おそらく開かれたであろう裁判でも、「被告」に陳述など、一切の報道もありません。

10年ほど前にルクチュンの友人宅を訪れた際の写真です。今回は友人の写真は掲載できません。ここはイギリスの探検隊が宿泊した建物の跡のようでした。

以下、同じです。


この事件に関連するウイグル人団体、アメリカなどの報道を読み比べてみました。この国の民主主義はどこへ行ったのでしょうか。先日の報道では、中国政府は、「今後、学校の教科書に民主主義と人権は記述しないように」との通達が出されました。さもありなんです。

ニューヨーク・タイムズ紙は、ここ数年、当局による監視とコントロールが大幅に強化されていることが背景にあると報じている。
 同紙はまた、世界ウイグル会議のスポークスマンが、今回の暴動は、ここ数か月にわたりウイグル人が突然留置されていたことが背景にあると述べていることを取り上げた。

近年ウイグル自治区では取り締まりが続いており、多くのウイグル人の行方がわからなくなっていたようだ。そうした人々の所在について当局に尋ねても、情報提供が拒まれていると、あるウイグル人は同紙に語っている。

上記の建物と同じ場所です。 


 他方、イスラム教徒が多いウイグル人に対し、政府による宗教上の規制が、緊張の原因になっていると海外各紙は指摘している。

あたりは茫漠としたゴビ灘があるだけです。


 フィナンシャル・タイムズ紙は、政府は経済を発展させるため何千人もの治安部隊とソーシャル・ワーカーを送り、強力な監視体制を敷いていると報じている。
 政府による漢族の移住促進の効果もあってか、2008年の統計で新疆の人口に占める割合は約40%となっている。同紙は多勢に無勢になる危機がせまっていると報じている。

 また同紙は、2009年に新疆各地で行ったインタビューとして、地元ウイグル族は漢族に強い憤慨を示しており、中国の一部になることを望んでいないと述べていたことを紹介している

2009年7月3日のウルムチにおける「血の惨劇」の日が近づいています。
政府と軍・警察による弾圧をやめさせなければなりません。
同時に、通行中の漢人にむやみに切りつけるなどの行為もやめなければなりません。
そのようなことは、誰の支持・賛成も得られません。
で、言論で勝負を、といっても、言論の自由も人権もないのですから、ここは国際的な支援しか方法はないようです。
| ウイグル情報 | 04:06 | comments(0) | - |
もうひとつのウイグル族との奇跡のめぐり合い
   きのう昭和女子大学で国際シンポジウムがありました。

 内モンゴル出身のバー・ボルドーさんからの直前の連絡だったのですが、この日、日本シルクロード文化センターの役員会がありましたので、時間の調整に困ったのです。会議と懇親会の会場が我が家なので、私が部屋を掃除したりということです。何とかやりくりしていきました。

 我が家はお客さんが来ると部屋が整理され、きれいになるのです!

 

 シンポジウムは「中国の経済発展と少数民族の文化的変容」がメインテーマでした。

 午前10時の昭和女子大学学長の挨拶から始まって午後8時までの懇親会までの長丁場ですが、私は午後1時から35分間報告する、北京中央民族大学の鐘 進文さんの「ヨグール(裕固)族の命名及び今日の発展における変容」だけを聴講して帰宅するというスケジュールでした。

今年5月1日、甘粛省・嘉峪関で会ったもうひとつのウイグル族=裕固族の女性。

どちらかと言うとモンゴル風の衣服です。

残念ながらきのうの国際シンポジウムの写真はありません。

 

 他のスピーカーのテーマもほとんどが内モンゴルにおけるお話しでした。10人ほどの報告でしたので盛りだくさんでしたが、私はそのような事情で1人だけの聴講でした。

 

 ところが、です。鐘 進文さんの「裕固族命名伝統与今的発展導現象」という中国語(漢字)のレジュメと彼の中国語を必死で聞きながら、昭和女子大のドクターコースで学んでいる女子学生の通訳を聞きました。


 ところが、です。今年4〜5月の河西回廊への旅のメモをひっくり返しながら、5月1日の裕固族と会ったときのメモがありました。

 

 裕固(ヨグール)族とは、844年までモンゴル高原の覇者であった古代ウイグル民族が、キルギス族の襲撃にあって王朝が滅亡した際、その多くがタリム盆地に下りて行きましたが、少数は河西回廊の嘉峪関にも下りて行ったのです。

 その嘉峪関のウイグル族が、現在では「ヨグール(裕固)族」となって存在しているのです。

甘粛省・嘉峪関のまたさらに奥地にある馬蹄寺石窟。

 

 嘉峪関の奥にある「馬蹄寺石窟」の入り口に裕固族の鐘 福江さんと会った時のメモでは、そこで彼は「わたしの親類が北京の大学で先生をしている。ときどき日本へ行くようだから彼と電話で話をすればいい」と言って、今、私の目の前で話をしている鐘 進文さんの名前と彼の電話番号をメモしてくれていたのです。

 馬蹄寺石窟の受付にいた鐘 福江さん。


 静かに話を聞いている会場で、私は思わず「エー!」と大きな声で叫んでしまいました。

 奇跡だと思いました。こんなめぐりあわせがあるとは思ってもいませんでした。

鐘 福江さんと記念撮影。鐘さんの隣りが私たちのガイドのディララちゃん、その右はチベット族の鐘さんの同僚、その右が私です。

 

 鐘 進文さんのお話しが終わってから通訳の学生が外へ出ようとするところを捕まえて、彼を会議室の外に連れ出してもらいました。私には彼と急いで話しをする必要があったのです。


 午後5時からの役員会で来年度の「シルクロード講座」の講師とテーマを報告することです。1年間すべてが決まらなくとも、半分以上は決めておいて報告したかったのです。

 

 鐘 進文さんにお願いをすると「野口先生が招待してくれますか?」というので、「私たちは貧乏団体ですので、そんなお金はありませんよ。その時にあなたが日本へ来れるならば講演をお願いしたいということですよ」と言いました。

 

 まっ、その結果はどうあれ、彼とコンタクトが取れて、今後も交流することと、お互いの著書やレポートを送りあうことで話しが一致しました。

 私にも新しい局面が開けてきました。しばらくは通訳を務めて下さった方を通して彼との交流が続きます。

楽しみです。“もうひとつのウイグル族・裕固族”との交流が・・・・

| ウイグル情報 | 07:00 | comments(0) | - |
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