シルクロード日誌

日本シルクロード文化センターのブログページです。シルクロードに関する情報、コメント、旅日記などを綴ります。
―60 回族とは

 以前から回族のことについて知りたいと思っていた。

今日の写真はすべてインターネットの写真です

 

 トルファン市内に住んでいるウイグル族の年配の女性を紹介してもらった。彼女は地域の女性関連団体の幹部をしている。さしずめ、町内会の婦人部長といったところだろうか。隣近所はみな回族だというので、回族についてのお話を伺った。後述するピシャンの回族のモスクのアホン(礼拝指導者)の話の内容との食い違いに注目していただきたい。

 

 

 回族の言葉は漢語である。けっして豚肉を食べないのは他のムスリムと同じで、1日に5回礼拝し、ラマザン(断食)をし、礼拝することと断食するのも他のムスリムと同じである。

中国における回族の分布図

 

 

 回族のモスクは2つある。2つの派に分かれている。

大きいモスク(東大寺)」の習慣はウイグル人とほぼ同じで人数も多い。習慣はウイグル人に近い。

小さいモスク(西大寺)」の習慣は漢族と似ている。数は少ない。習慣は漢民族に近い。

この大小のモスクは昔から相互に結婚できない。葬式のやり方も違うといわれている。

「大きいモスク」は金持ちが多いので、牛を殺してみなに食べさせる。

「小さいモスク」の貧乏人は羊を殺してみなに食べさせる。

 

 トルファンのウイグル人は、葬式後、5日後に牛や羊を殺して「nazir」(ナズル。地方によって違うが、トルファンでは葬式が終わって5日目に礼拝指導者をはじめモスクの人たち、親戚やたくさんの人たちを呼んで食事を食べさせ、死者の霊魂に祈る)をする。

写真は「中国各民族」中国民族撮影芸術出版社による

 

 ウイグル人は葬式の日には食べ物は出さない。しかし、大きいモスクの回族人は、葬式が終わると葬式に参列した人びとをごちそうする。それぞれ自分の経済状況にあわせて牛や羊を殺して、葬式に来てくれた人たちを招待する。特にモスクのアホン(礼拝指導者)を特別に尊敬し、金やプレゼントを持たせる。ラマザンの時にはアホンを特別に大切にする。

 1つの村には何人かのアホンが必ずいるが、もし、自分の村にアホンがいなければ、近所やほかの村からアホンを呼んできて、ごちそうしたり、たくさんプレゼントを持たせる習慣がある。

 

 回族とウイグルの習慣は違う。回族はモスクのアホンが農村にいれば出てもらうが、いなければアホンのいる村まで呼びに行ってお祈りしてもらう。クルバン(犠牲)祭りやラマザン(断食)の祭りでは、牛や羊を殺してまずアホンに食べてもらう。アホンが食べないとその家族は絶対に食べ物に手を出さない。アホンが来て食べるまで家族全員で待っている。1日中でも待つことになる。

 

 

 ラマザンの時、ウイグル人は夕食時にアホンや長老を呼んできて、クルアーンを読んでもらう、それからごちそうをする習慣がある。回族人は朝の食事の時に(だいたい夜明け前の3〜4時ごろ)真夜中でもアホンを呼びに行って、出した食事を食べてくれるまで待っている。貧乏な人でも100元を出すとか、羊の肉の半分を出すなどする。このようにアホンをとても大切にして、自分の信仰心を表す。

 

 親は結婚相手を決めることを大事にする。家柄と家同士が同じくらいの財力であれば結婚できるが、レベルが違ったら結婚できない。家系(家柄)をとても大事にするので、自分の家系に合うような人でないと結婚しないことが多い。回族人のあいだでは、女性は30歳までに結婚しないとよくないと思われている。トルファンの回族は、自分の村で自分の家系に見合うような結婚相手がいなくて、娘が年取って未婚ならば、達坂城(ダーバンチャン)やウルムチの回族と結婚させることもあるという。とにかく年をくった娘は遠いところに結婚させるという習慣がある。

| シルクロードの光と影 | 05:20 | comments(0) | - |
―59 HIV感染者の未申告9割

 

 エイティガル寺院。

 ※新疆では多くの地域が国境に接しているので必然的にHIVが入り込んでくるという。

 

 根強い偏見が拡散助長

 

 06年10月24日付の日本の企業関係者向けの新聞「日中新聞」には、次のような記事が掲載されていた。

HIV感染者の未申告9割  根強い偏見が拡散助長

 

 このほど開かれた「中国健康連盟成立大会」で、国内におけるHIV感染状況に関するデータが報告された。

 

 それによると、中国にはHIV感染者及びエイズ発症者が86万人存在し、昨年は1日あたり192人の割合で感染者が増加していた。しかし実際に関連の行政機関や医療機関に感染の申告を行なっている患者は感染者全体のわずか8%、検査を受けた感染者及び発症者は全国でわずか16万人、そのうち各医療機関が資料を把握している患者はわずか5万人。以下略。

 

 ※感染者は実際にはこの数倍に達するであろう。

 

 05年に新疆再訪の際には、こんな話が出まわっていた。

 

 新疆ではレストランでの食事時には例外なく羊の肉を食べるので、爪楊枝が必需品になっている。最近ではエイズ保菌患者が、その爪楊枝を使ってから、もとの楊枝入れに戻しているといううわさが出まわっているので恐慌をきたしているという「噂」である。

 

 ※はてさて、2017年の現在では、どのような状況になっているのか見当もつかない。各自治区の担当者が真実の報告を中央政府に伝えているとは考えられないからである。

| シルクロードの光と影 | 05:41 | comments(0) | - |
ウイグル人の生活習慣及び風俗・伝統あれこれ ―58 売春

 中国政府は麻薬撲滅の努力をしている。麻薬犯罪対策に取り組む中国公安省禁毒局の楊鳳瑞局長は04年7月14日、北京の外国記者プレスセンターで記者会見し、中国の麻薬問題の現状と対策について語った。
 「中国の麻薬問題はいぜん重大な状況にある」と切り出した楊局長は、1998年から03年までの6年間に54万件の麻薬犯罪を摘発し、逮捕者25万人、押収した麻薬はヘロインだけで約50トンにのぼることを明らかにしている。

きょうはテーマに沿った写真でなく、一般的な写真です。

 

 トルファンで散歩に出てホテルへの帰り道に迷ったので、街角で友だちとバイクの横で談笑していた青年にホテルへの道を尋ねると、「後ろに乗りなさい」といって、サッとわたしをホテルの玄関まで乗せて行ってくれたのである。わたしは心からの感謝の気持ちをこめた握手でお礼を言った。東京でこのような若者が果たして何人いるか。必ずいるだろうが、少なくなってきているのも事実であろう。しかし、新疆ではまだ健在だった。

 

 退廃に浸かって「青春を謳歌」しているシティボーイの姿とウイグルのよき風習を守ろうとする各種の青年とが同時進行形で存在しているという姿が、新疆のウイグル人社会の「カオス=混沌」を表わしているとも思われる。

 

 さらに同じトルファンでわたしの定宿のホテルでのことである。ホテルのレストランでおそい夕食を終えて部屋に戻ろうとすると、さきほどからフロントや廊下をウロウロ歩いていたウイグル人の若い女性が話しかけてきた。「先生、按摩はいかがですか?わたしは若いきれいなウイグル娘です」と中国語でいう。「わたしも若いから按摩はいらないよ」というが、「わたしは按摩以上の特別なサービスもしますよ」といって、露骨に売春を誘ってきた。彼女はわたしの部屋までついて来て、断るわたしに「部屋の中で話しましょう」と強引に入り込もうとする。力では負けないわたしは彼女を力ずくでドアの外に押し戻した。

カシュガル付近のタクラマカン沙漠で拾われた狼の仔。初め私は仔犬かと思って手を出したら、強烈な力で咬まれて驚きました。

 

 翌日、車で迎えに来たオスマンジャンにそのことを話すと、彼は同じウイグル人の女性のことなので顔をしかめながら言った。「彼女は野口先生をつかまえることに失敗してから、そのあとホテルから出てきて、また外出から帰ってきた出張で仕事できている技術者の日本人に話しかけていました。2人はエレベーターで上に上がっていきましたよ」という。前日の朝、それまで見かけなかった日本人技術者2人とホテルのレストランで行きあったが、そのうちの1人は売春婦の餌食になってしまったのだ。だらしのない男である。当然だろうが、彼女たちには通常の性病のほかにエイズという業病がついてまわるのである。

 

 彼女たち売春婦は、はじめは恥ずかしいのでオズオズと仕事を始めるのだが、今では非合法とはいえ、「こんなに儲かる商売を何でもっと早くやらなかったのか」と堂々と商売にいそしんでいるのである。これは日本で不動産業を営んで成功している北京出身の女性と、成田への帰りの飛行機の中で隣り合わせた際、聞いた話である。

 

 1949年の新中国建国後、中国政府はそれまでの国民党政権下にいた数百万人に及ぶ売春婦をすべて摘発して、性病を根治させる医療活動を展開し、それぞれ故郷に帰したり、新しい仕事を紹介したという。

 売春は人類の仕事で最も古い仕事だといわれているので、1978年の改革開放以降4半世紀をすぎて、西域・シルクロードの地にも存在することは、却って当然なのかもしれない。

 

 今(2004年頃のことです)、アジアでは820万人のエイズ患者がいる。そのうち最多の国はインドで500万人、わが日本は先進国中異例の12000人いるという。中国に関しては、05年7月の政府当局の発表では、エイズ患者は80万人としている。中国の官側に近いメディアでさえも「実際の数字よりはるかに少ない衛生省の発表・・・」といっているが、はてさて・・・・

 

| シルクロードの光と影 | 08:13 | comments(0) | - |
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